夕闇が橙色の光を校舎に溢れさせている放課後。
 いつもなら直ぐに帰る新一だったが、今日はどうしても“あの扉”が気になって仕方なかった。
 なんとなく足を向けてしまった裏庭で、新一は先程からずっと扉と睨めっこだ。


「………………やっぱり開けちゃダメだよなぁ」


 そんなことを呟きながらも、新一の手は既に扉に向かって伸びていた。
 探偵は好奇心が強いのだ。
 ダメだと言われると、余計にしたくなるのが“探偵”という生き物だった。


 この世界には、古来より“神”が存在すると言われている。
 神は、この世に“生まれ変わって”来るのだと。
 神の生まれ変わりなど、新一は信じていない。




 けれど――。


「この扉、――開かないのか…?」


 友人に聞いた話によると、押しても引いてもびくともしないらしい。
 けれど、新一は何故かこの扉を開けなければならないという、漠然とした焦燥感を抱いていた。
 何かにせっつかれたように手をノブに掛ける。
 ドクリ、ドクリ、と高鳴る鼓動に、新一はゆっくりと厳重に封をされた扉を引いた。

 がちゃりっ


 呆気ないほどあっさり開いた扉に目を見開く。
 新一の目の前には、地下へと繋がる階段が広がっていた。
 緩やかな声が微かに聞こえてきて、新一は一瞬ドクリと心臓が騒いだ。
 その途端に走った背中の痛みに、新一が呻く。
 咄嗟に手を伸ばして背中に触れたときには、既に痛みは退いていた。
 何だったんだろう?
 不思議に思いながらも、この地下室の謎を解くために、新一は階段を降り始めた。
 下に近付くにつれ、人影が新一の視界に入って来る。
 涼やかで凛とした声が、新一が階段を降りきった途端に掛かった。


「だれ……?」


 視界に入ったのは鮮やかな紫――。
 一目で目を奪われた瞬間から、新一は“彼”に惹かれていた。


 それは、始まりの合図だった――。




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ぎりぎり今日!
漸く出会ってくれました。
あとは新一に頑張って貰いましょうかね♪


2011/11/02 23:56
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