「オメーもしかして……学校行ったことないのか?」

「うん。学校って楽しいの? 友達たくさんいる?」


 あっけらかんと喋る快斗にとっては、学校に行っていなかったことなど些細なことだった。
 勉強は、快斗の近くに来れる人間が教えてくれた。
 志保も紅子も“外の世界を”何も知らない快斗に、たくさんのことを教えてくれた。
 それだけが、快斗の中の世界だった。


「ここには、たくさんの気配があるね。みんな明るい気を放ってる。
 喧騒や木々の囁き。そんな綺麗なものがたくさんある。
 俺、外に出れてちょっと嬉しい。もっと、“普通の”子供みたいに遊びたい。“ただの人”として生きてみたい」


 それが、快斗の願いだ。
 普通の子供みたいに友達と遊び、笑い、騒ぎたかった。
 すると、黙って快斗の話を聞いていた新一にぎゅっと抱き締められた。
 びっくりして目をぱちくり見開く。


「キッドにしてみたらそんな生活当たり前なのかも知れないけどさ、…――そんなの、やっぱ哀しいよ…。
 これから作って行こう。俺が、キッドの友達第一号だ。学校のことも、父さんに相談してやる」

「コナンのお父さん?」


 何故そこで新一の父親が出てくるのかと不思議そうに首を傾げると、新一が苦笑して答えを教えてくれた。


「俺の父さんここの理事長なんだ。コネで入れてくれるかも知れねぇ」

「そうなの!?」


 ぱぁっと輝いた表情の快斗に、新一は真剣に頷いた。


「あぁ、約束する」


 この時は気付いてすらいなかった。
 何故作家である新一の父――優作が、理事長になったかなど。




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オフ会で疲れたので早めにup!
拍手ぱちぱちありがとうございます。



2011/11/27 20:16
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