「…………………」
開けたドアの中に広がる部屋の広さと豪華さに、新一はただひたすら沈黙した。
本音は絶句だ。
ここは王族や貴族の客間か!?という尤もなツッコミは、このような部屋を見るのが初めてな快斗に間違った認識を与えてしまった。
曰わく、外の人はこんな広い部屋に住んでるんだなぁ…という純粋な感嘆だ。
これを新一が知ったら『違う!!』と全力で否定しただろう。
快斗が口を開かなかったのは残念だ。
「なぁ、此処が俺たちの部屋?」
わくわくと瞳を輝かせる快斗の喜びを無碍にすることはできない。
新一は、黙って頷いた。
心持ち肩が下がっている。
新一はよく室内を観察してみた。
この部屋は、ダイニングルームのようでテーブルとソファ、その奥に簡易キッチンと冷蔵庫がある。
そこを逸れて更に奥には、寝室とトイレとお風呂場がある。
それを思わず快斗を背中に張り付かせたまま、一つ一つ確認してしまった新一は、嬉しそうな快斗にはっと我に返った。
ついつい探偵としての癖で室内を確認してしまっていた。
「わりぃ、キッド。気に入ったか?」
「うん! 広いけど凄く綺麗」
邪嬉というものが一切ない快斗の笑顔は、荒んだ心さえ癒される。
用意周到過ぎる周りの対応に嫌悪を覚えていた新一は、ちょっと立ち直って快斗に抱き付いた。
これから一緒に住むのだ。
「よろしくな、キッド」
きょとんと目を見開いた快斗は、嬉しそうに新一を抱き締め返した。
本当は、快斗も怒涛の展開についていけてなかったのだ。
だから、新一の笑顔が嬉しかった。
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更新時間定められないorz
今検討中です。
2011/11/21 20:36