「キッド様のそばに在ると申し上げるのでしたら、あなたにはそれ相応の“覚悟”を示して頂かなくてはなりません」
摩訶不思議な寺井の発言に、新一は警戒を強めた。
対峙する二人に、新一のそばで立ち尽くしていた快斗は、寺井と新一の剣幕に苦々しい笑みを浮かべた。
その快斗の表情を紅子と志保が気遣わしげな表情で見つめていた。
「紅子様が先程申し上げていた通りです。
キッド様は、“名探偵”と呼ばれる工藤様でしたらもうお察しでしょうが、この世界の“守護神”です。
あの場所で、この世界のためだけに生きていく。
それがキッド様の使命であり、生きる意味。
あなたには、それがどのような意味かわからないのですか?」
「だからって、キッドがあそこに閉じ込められてなきゃいけない理由にはならないだろう。他にも、もっと方法はあったはずだ。
“守護神”だなんて笑わせんな。そいつの人生奪っといて“世界の平和”だって?
それこそ馬鹿の考えることだね」
厳しい発言が飛び交うのを聞いて、快斗が見ている方が痛々しい表情で俯く。
快斗にはわかっていた。
“自分が消えることの危険性を”
そして、自分という存在が生み出した様々な罪を――。
冷たい空気が流れる中、先に折れたのは寺井だった。
真っ直ぐな蒼い瞳から目を逸らす。
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昨日の分は上げられそうにないです。
当日に休む場合はサイトの日記にお知らせするのでよろしくお願いします。
2011/11/13 22:20