「――キッド様っ!!」


 突然出られないはずの牢から消えたのに驚いたのだろう。
 快斗でさえめったに見たことがないくらい慌てた様子で、志保と紅子が駆けてきた。
 ぴくりと反応し、二人を警戒心も露わに見た新一を、宥めるように背中をぽんぽんと叩く。


「哀ちゃん、風音……。いきなり消えてびっくりしただろ? ごめん」

「気にしないで下さい。それより、どうして…」


 あそこから出られた理由を問い質そうとする志保だったが、ふわりと新一の前に進み出た紅子に、新一の存在に気付き押し黙った。


「………はじめまして、“光の魔神”。いいえ、“蒼穹の破壊者”と呼んだ方がいいかしら」

「光の魔神……? 蒼穹の破壊者……?」


 いきなりの問い掛けに、新一は混乱した。
 新一は始め、この二人が快斗を監禁したのだと思った。
 けれど、その疑惑は快斗の二人を呼ぶ名前に“違う”と直ぐに気付く。


「そう。あなたは、総てを壊す者。そして、キッド様を救ってくれる唯一の人だわ」

「俺が?」


 いまいちピンとこない発言に困惑していると、紅子は艶然と笑みを浮かべた。
 ミステリアスな美貌だ。
 もしかしたら、母並みに綺麗かもしれない。


「“闇に散る花を解き放つ者よ。彼の者を導き護りたまえ。さすれば、汝の欲すものが舞い降りん。”
 ――――これは予言よ。私に詠める最大限のね…。信じるか信じないかはあなた次第。期待してるわよ、破壊者さん?」


 淀みなく告げられた予言に、新一の意識が逸れた。
 何かが、それをわからないままにしてはいけないと告げていた。




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眠気眼です。
久しぶりに眠い。
アンケート投票の発表は明日にしよう。



2011/11/08 22:21
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