永遠にさよならさ

死ネタ注意





「シシドくん!シシ…ドくんだめ!死んじゃやだあ!!」


飼育員がさっきからわんわん叫んでやがる。うるせぇ、ちゃんと聞こえてるっての。

それに死なねぇよ、俺は
俺は死なない、絶対にこんなとこじゃ死なない
俺は強いからな


「シシドくん…お願いだからっ!」


だから泣くなよ
俺は死なないって言ってるだろ
何で死なないのに泣くんだよ
何でだよ


「シシ…ドくん……シ、シドくっ…ん…」


何で泣き止まないんだよ



飼育員の頬を伝う涙も
俺の中から溢れる血も
今や過去の事として時は流れ





ただ、今は

血が流れるにつれ
飼育員の意識は薄れていた


「飼育員!しっかりしろよ…おい!」


「…シド…く……シ、シ…く…」
「何だよ、ちゃんと喋んねぇと聞こえねぇだろ!俺が死にそうになってた時はあれだけでけぇ声出してたじゃねぇか!!」


「………シ…ド…く…」
「何だよ!はっきり言えよ!!」

「……ごめ………ね」


ぼやりと視界が揺れる
何だこれ


「何がだよ!俺が悪かった!謝るから!俺がお前を守るって決めたんだ!!これからは絶対、絶対に守るから!!頼むから死ぬなよ!!!」


「……ありが…と…シシ…ド…く……」


飼育員の腕かだらりと滑り落ちて身体全体の筋肉が伸び重くなったのに気が付く、そして飼育員の目はゆっくりと閉じた。徐々に血の気がなくなり冷たくなってくる、まるで生き物じゃないような程。生き物ってこんなに冷たくなるんだな、飼育員の顔を触る、柔らかくてまだすこし暖かい。


俺は飼育員を抱きしめた。まだ残る飼育員の名残を探しながら、精一杯、精一杯抱きしめた。頬を濡らす、これが涙ってやつか。



飼育員がすぐ泣く理由も、人間が涙を流す仕組みになっているのも何と無くわかった気がした。







「守れなくて、ごめん」
俺は蒼伊華と永遠のお別れをした。
――――――
シシ華
華ちゃん死去注意。
分かりづらいと思うので、ちょっと補足すると、以前シシドが戦った時にシシドが大怪我をして時が過ぎ、今度は華が大怪我、シシド激怒、戦闘の末シシドが勝つも華…的な展開。
華ちゃん死去とか無し展開だがシシドに華ちゃんが泣く理由を知って欲しかった、後悔はしてません。
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