ストックホルムシンドロームの末路


※暗くて無駄に長いので注意





水族館の何処かにある、幾つかの扉。その中の一つは、扉を開くと薄暗く広い空間がある。部屋の中は静まり返りただ冷気を絶やさずにいた。


ガチャリ、ドアノブが音を立てこの暗い部屋に訪問者を迎え入れた。コツコツと黒い靴が冷たい床と擦れる、訪問者は部屋の片隅に向かう。そこには体育座りをした華がいた。



「なあ華…今日はお前の為に服を用意したんだ…!華と同じ青い花をモチーフにしたオートクチュールなんだ…、どうだ…嬉しいか?」
伊佐奈はそう言うとラッピングをビリビリ破き、箱の中から薄暗いこの部屋でもわかる程、綺麗な青色のワンピースを丁寧に両手で取り出した。


「それと…同じブランドのイヤリングとネックレスも」
もう一つのラッピングからは、また青色の花をあしらったイヤリングとネックレスが入っていた。


「なあ、華…」
華は一行に伊佐奈に向こうとはしなかった。
なんで…伊佐奈の頭の中に渦巻く謎、謎、謎。何故、華は俺のプレゼントに見向きもしないのだろうか。華が喜ぶと思ってした事なのに…何故喜ばないのか。「こっちを見ろよ」
何故、俺を見てくれないのか。




華は伊佐奈の言葉に一向に聞き耳をたてようとしなかった。









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