私の小さな王子様



あ?何だこれ

シシドの目の前に広がる現実。華が半裸で、傍にはあの伊佐奈と言う男がいた。

飼育員……と男、見たことある奴だ、確か強い奴。飼育員、が泣いてる…泣いて…?男に襲われて?飼育員が…男に……………?
ドクンッ

「てんめええええええええええええええええ!!!」
シシドは勢いよく二人にの間に割って入り込み華を自分の背中に隠すと伊佐奈と距離をとった。

「ちっ、雑魚か」
「おい!俺の女に何しやがる!!」
「シ…シシド君!!」
「雑魚がニャーニャー五月蝿ぇ」
「俺は猫じゃねえ、ライオンだ!てめぇ飼育員に何してたんだよ!!」
ギリリ、歯軋りの音。
「見れば、わかるんじゃのねぇか?な、華?」
余裕な表情の伊佐奈の発言で、シシドを激怒させるのは簡単なものだった。

「あ…」

振り向けば自分のすぐ傍には衣類や髪が乱れ、顔を赤くし涙を堪える華がいた。つい、シシドまで顔を赤らめてしまった。
「シシド君、あんまりこっち見ないで!」
「え、あ、おう!!」
恥じらいとか全部全部ごっちゃごっちゃで、頭がパニックになりそうだ。
「あーーーっ!くそ!てめぇは俺が殺す!!」
「殺すのはだめ!」
「…てめぇは俺が倒す!!」
「雑魚は雑魚だな、自分の力量もわからねぇ」
「…んだと!!」



「これだから動物は使えないんだよ」



「ちょっと待っ…「ライオンハート!!」ガオオオ
「シシド君…!」
「ぐっ…雑魚が」
「これで終いだ…ライオンハート!!!!」
「ぐはあっ!!」
伊佐奈はシシドの攻撃を喰らい、床に突っ伏した。

「二度と、二度とこいつにだけは手を出すんじゃねぇよ!…!」
シシドの目は本気だった。



「シシド君!!」
後ろから抱き着く華。
「な、ななな何だよ!?行きなり抱き着いてくんな!!俺は馴れ合いとかは好きじゃねぇんだ…」
「ありがと」
その声は小さく、震えていた。
「…おう」






「…シド君く…シシド君起きて、シシド君!」


瞼を開けば飼育員が目の前にいた。そうか、夢だったのか。長椅子に座ってたのか。

「おい、飼育員」
「何?シシド君」
「お前、変な奴にホイホイついて行くんじゃねぇぞ」
「ホイホ…しないよ、そんなこと」
シシドは立ち上がり、歩き出した。
「あっ何処行くの、シシド君!」


かと思いきや、また止まった。
「…やめんなよ、ここ」
「え?」
「俺がお前を守るんだよ、どっかの誰かさんに連れてかれないようにな」
「…?うん、ありがと」

本当にシシド君て、素直じゃないんだから。
華は実はシシドの気持ちに気付いているようだった。


誰にも見られないように顔だけで小さく笑って、シシドはまた歩きはじめた。



頑張って守ってよ、
私の小さな王子様。





――――――
シシ華←イサでした。
伊佐奈夢の中で凄くやられ役です、夢だから仕方ないですよね!
先日絵チャをやりまして伊佐奈に襲われている華を守るシシドっていう…ネタにしかならねぇ!!という訳でネタにしてみました。




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