どうせなら来世で結ばれようか


スンスン
「…血の臭い?」
何だか、園内から血の臭いがする。
みんなは何も言ってなかったし、気付いてるの俺だけなのかな?
スンスンスンスン
「こっちか」
取り敢えず血の臭いのする方へ歩いていく事にした。
するとハナちゃんの姿があった。




「ハナちゃん!」
遠くから大上君に声をかけられた。
「あ、大上く「怪我したの?大丈夫?」
突然、してもいない怪我の心配をされて私は驚いた。
「え…、してないよ?」
そう、私は別に怪我なんてしてないのに。
「おかしいな…ハナちゃんから血の臭いかするのに」
「!?」
納得とか羞恥とかがごちゃごちゃになった?えっ血?あ!狼は鼻かきくからわかったのか、え、うわ、ああああ恥ずかしい!!



ハナちゃんの顔が急に赤くなった、何かあるのかな。
「ハナちゃん…?」
「…怪我というかなんというか、生理的なもので…長いので中略…と言う訳で臭ってても怪我じゃないから安心してね!」
上手く説明出来たか微妙なところだけど、すべてを動物である大上君に理解させると言うのはお門違いだ。
「うん悪かったね、恥ずかしい思いさせちゃって」
「いいよいいよ気にしないで!私ももっと早く説明しておくべきだったし」それでも、大上君は優しい。
「でも人間の女の子って大変なんだな、男の方は楽そうだけど」
「いや、男の人は男の人で大変だよ」
うん、色々ね、色々。
「なら人間の男に生まれたかったかも」
大上君が言う。
「え、何で!?」
まさかの一言に私は驚きが隠せない、隠す意味はないけど。
「俺が人間の男だったらハナちゃんの大変さがわかったんだな、と思ってさ」
ドキリと胸がざわめく。
「いや、男と女は違うよ流石に…」
「でも狼と人間よりかはわかるんだろうな」
今度はズキズキして、胸が苦しい。
「…そうだね」
「それに俺が狼じゃなくて人間だったら…俺のこと好きになる可能性ってもんが増えるだろうしな」
ああ、そうか。
「……そう、だね」
私、大上君が。
「ハナちゃんさっきからそうだねしか言ってないよ」
「そうだね」
好きなんだ。



辛い顔のハナちゃんを見ていられなくて思わず抱きしめた。
ハナちゃんは、やわらかくて、あったかくて、人間だった。




「ハナちゃん、ごめんね」
いいよ、ハナちゃんの優しい声が体の中を反響する。



まさか狼の自分が人間に生まれていれば、と思わされるなんて。
――――――
大華、なのにちょっと悲しいお話でした。
大上はお兄さんで、考えもちゃんとしてる、いけないことだってわかってる、でも…好きな気持ち抑え切れなかったごめんみたいな話なんですが変な感じになりました。
喋り方がイマイチつかめない。



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