狼片思い理論



「ねぇ、ハナちゃん」
「何?大上君」
「ハナちゃんってさー好きな人とか、いるの?」
何となく俺らしくない質問だなと思ったけど、気になったから仕様が無い。
と誰かに言い訳をする。
ポッと赤くなったと思えば、いないいない!、と頭と手をブンブン横に振って否定するハナちゃんが可愛い。
「本当に?」
「うん、本当!」
それはそれで嬉しいような悲しいような。
「そっか〜」
ただそれが聞きたかっただけだから聞いた後の事なんて何も考えてなかった、俺とした事が!
「大上君は好きな子いないの?」
予想外だ、逆に質問されるなんて。
「俺?俺は……」
ハナちゃんと目が合う。




「いるよ、でも誰かは秘密」

「へーいるんだーでも秘密なんだねーって、えっ!?ふぼっ!!」
ハナちゃんはビックリした勢いで後ろに転倒した。
手を差し出して、ハナちゃんを手助けする。

「ハナちゃん、何で俺が秘密にするかわかる?」
最後に罠でも仕掛けようかな。
「うーん、わかんないかな」



「その方がドキドキするだろ?」
「!あ、うんそうだね」
また顔を赤くして肯定するハナちゃん。
「さ、ハナちゃん掃除掃除、園長に怒られちまう」
「そうだった、やばい早くやらないと…」
「ハナちゃん」
「何?大上君」
「この話は二人だけの秘密だからね」
にこりと笑ってみせた。
ハナちゃんも照れながら笑ってくれた。


片思いでもいい。
片思いでもいいんだ、いつか君を自力で振り向かせてあげるから。な、ハナちゃん?


――――――
大上は片思い要員でお兄さんだから華に期待させたりする。
といいなと思います。
簡単に好きとか言わないけど、好きって言うのを本人だけにほのめかす感じ。



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