俺と飼育員



※31話ネタ





「シシド君」
またか、さっきから怪我の心配ばっかりだ、飽きた。
「何だよ」
聞いてやらないとまためんどくせーから飼育員の話を聞いてやる。
「私ってやっぱり弱い?」
「は!?」
てっきり怪我痛い?とか言うと思ったから、行きなりそんなこと言い出して少しビビった。
「…私、戦ったり出来ないから泣くしか出来なくて、悔しくて……」
飼育員の目からはたまって収まらなくなった水が流れだした。
あ、また落ちた、また。
水は頬をつたって地面に浸透する、何だか胸が締め付けられて苦しくてたまらないのに。
何でかわかんねえ。

「お前は弱えよ」
トラと戦ってた時も言った、ただの人間のメスの飼育員は弱い。
だからって俺は嘘付く気はない。
うん、消え入りそうな飼育員の声は胸を更に締め付ける。
「弱えんだから俺がずっと守ってやるよ」
出来ない嘘は付かない。
「だから」

だから
「ずっと俺の傍から離れんなよ」
ずっと俺の傍にいろよ。



「…うん、わかったよ」
すぐ迷子になるだろうしな、と言ったら今日はまだ迷子になってないとあいつは怒ったけど、顔は笑っていた。変なやつ。



知らない内に胸が苦しさもどこかに行ったみたいだ。



――――――
31話滾り過ぎて滾り過ぎて。
シシド好きが、シシ華好きが増えることを願って。



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