初対面で戦闘
「すまん若いの...」
「え、はい」
「背中痒いから帰る」
「そんな理由で!?」
岩の向こうで繰り広げられているマシンガントーク。
ルキちゃんを追いかけて人間界まで来てしまったけれど、生まれてこの方ここまですごいマシンガントークは聞いたことがない。
感心していたけれど、今はルキちゃんにこれを届ける事が僕の役目なのだ。早く行かないと駄目になってしまう。
行こう、と脚に力を入れると、足元にあった石を踏んで転んでしまった。
相変わらずの間抜けっぷりに、自分でも呆れる。
「い...っ、うぅ...」
「あっ、レンヤさん!」
転んだ拍子に岩陰から出てしまったらしく、視線が自分に集まる。
数人の視線に戸惑っていると、聞き慣れた可愛らしい声が僕を呼んだ。
桃色の髪に黒い羽飾りのようなもの、間違える筈がなかった。
「ルキちゃん!」
名前を呼んだら、少し表情が柔らかくなる。
可愛いなあ、と癒されていると、後ろから物凄い威圧感を感じた。
「...誰だテメエ」
「ぼ、僕ですか...?」
「まさか、さっきの見たのか?」
見られたならブッ殺すまでだ、と殺気を露わにする青年は、どうやら本気のようだ。
仕方が無い、そう呟きながら立ち上がる。
距離は約12m、身長は相手の方が高い。
リーチは明らかに相手にある、でも負ける訳にはいかない。
「お兄さんみたいな人は、懲らしめないと」
僕はヒーローだからね