学パロスさん2
黙々と進んでいくと、小さな和風の店が現れた。
小さな看板には、綺麗な字で駄菓子屋と書いてある。
こんなところで駄菓子屋を開いていて、客は来るのだろうか。
引き戸をガラリと開けると、中は意外にも新しい。
懐かしい駄菓子から新しい菓子、手作りの小さなケーキまで売っている。
尚更、こんなところで店を構えているのが不思議になってきた。
「いらっしゃいませー」
中から出てきたのは、白髪の優しそうな婆さんではなく、薄桃色の髪の少女。
そして、その顔には見覚えがあって。
「ここってレンヤさんの家だったんですか」
「ろ、ロス先輩、こんばんは」
驚きで目を丸くしている彼女に、思わず微笑む。何だか小動物みたいだ。
にしても、どうしてこんな所に住んでいるのだろう。
先程から慌てている後輩の頭を撫でると、急に大人しくなった。
「どうしました?」
「えっ、いや、あの・・・」
先輩って、思ったより優しいですね
アルバ君が言ってたよりずっと、なんて可愛らしい笑顔で言うものだから、空いた口が塞がらない。
微かに赤い頬とか何のギャルゲーだ、とか、我ながら意味のわからない事を考えてしまう。
「貴方は俺をそんな風に思っていたんですか」
「あ、いや、悪い意味ではないんですよ?」
「ぶん殴りますよ」
微笑んで言うと、涙目になった。別に脅しではない。
冗談だと言うと、安心したように目を瞑った。
今更気づいたが、ここにいると酷く安心する。まるで、何度も来ているような。
その理由がこの建物にあるのか、それともこの可愛い後輩にあるのか。
今はまだ、知らなくていいか。
「レンヤさん、これください。…あと、」
また、来てもいいですか(絡み合ったあなたと自分の)(同じ様で違う赤)------------------------------
青春と夏がもう近くだなあ、っていう話。
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