戦勇。 | ナノ
軍人コンビが依存気味

この感情を満たすことに、自分はどれだけ苦労しているのだろう。
そのために、散々な目にあって仕方が無い。

きっと、理性を殺した方がもう楽なんじゃないのか。幾多の自問自答の末の解答は、案外簡単なもの。
虎視耽々と、獲物を狙うかのように鋭い目つきで。
もう一人の自分は、いつだって誰かに迫って困らせている。あの子も困らせている。


色付いた山茶花のような、真っ赤な肉塊を舐める。
それを睨むように見つめているレンヤ。
何て綺麗なのだろう。
その視線に映るものが、今は俺だけ。幸せすぎて死んでしまうかもしれない。


睨むようにこちらを見つめている彼女は、気付けば涙を流していて。
もう一人の自分が作り上げた、人目につかない、否、見る人のいなくなった世界。

「レンヤ・・・っ」

駆け寄ると、涙を流しながら微笑む君。
綺麗な涙が血の付いた頬を伝って、少しずつ濁っていく。
切り取られた足の断面が、脳に鮮明に焼き付いて行く。

「・・・おかえり、フリッピー」

「・・・ただいま」

どれだけ僕は恥をかいただろうか。どれだけ僕は恥をかいていくのか。

「ごめん、レンヤ・・・」

「謝らないでください、裏の貴方も貴方だもの、自分を責めないで」

そっと頬に触れたレンヤの手。
ああ、小指までなくなってしまったのか。
大切な人を守れない、この気持ちを惨めと、情けないという以外にどう表そうか。
ゆっくりと、そこに居ることを確かめるように、レンヤを抱きしめる。

そうして行く間にも時は流れ、太陽系の惑星はゆっくりと、でも確実に回り出しているのだろう。







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某曲から妄想して書きました。

軍人君も覚醒君も、夢主が大好きなんです。
でも、軍人君は純粋に、覚醒君は独占欲が強いが故に、こうなってしまったらかわいい。


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