あたしたち、三人を中心に人が集まっていた。革は、コトハとあたしを自分の背中の方へと挺してくれる。
「な、なんですか」と聞けば「ガキか、女連れでここに来るたなぁあ」と言えば、別の人間が「たしかに人数が増えれてくれりゃあ」と言うのだ。何の事だか分からない。


上の方から「オラオラオラァ!!」っと叫び声がすれば「どけ、どけえっ!!」と言われてしまう。


舞い降りたのは、頬にVの模様がある二人の少年だ。彼らは持っていた槍を回せば、周りの「また悪ガキ共が…」っと口にした人だかりを散らそうとする。

「(うわー、これまた絶対にお近づきになりたくないタイプキタ〜)」
(ひとりの子、綺麗な赤髪だなぁ)

赤髪の子が「新入りか!!」と言えば、あたしたちの着ている制服を変な服と言い始める。っと思えば「ぬお!?」と叫ぶ。
コトハを見て、惚れたようで口をカ、カワイイっと動かしている。「こ、こっちも!?」っと何やら赤髪の子を兄ィと言っていた少年があたしに指をさしていた。
ヒソヒソっと二人が、話し合っているうちにっと「行くぞ、巳束!コトハっ!」と小声で指示をだす。

通り過ぎようとすれば「コラコラコラぁ!!」っと見つかってしまい「その服も荷物も全部よこすのさ!!」っと言ってくる。
思わず「はぁ?」っと呟いてしまえば、弟らしい子にビクっとされてしまう。いや、ソッチがいきなりカツアゲをしようするからっね。
気付いたら、今度は革の鞄をぐいいっと引っ張りだしたのだ。


「ちょっと、君!革の鞄、何してるの?」
「お姉ちゃん、綺麗なのになんか怖いからコッチのよこせっ」


革も「い、嫌だ!」と言えば、兄ィの子が「――ここで俺らにたてつくとはいい度胸さ」と告げる。

二人の少年が革の前と後ろに立てば、攻撃を仕掛けるのだった。殺す気の攻撃を避ければ、周りの人たちも「あいつ、うまく避けるな」と告げていた。

「革は運動神経は、いいもんねっ」と言えば「その“は”は余計だっ」と言って、コツンと頭を殴られる。

「気ィすんだろ、てかさ卑怯!1人でかかってきたら?」

革はそれを告げれば、あたしたちに「行こっ」と言うが兄ィの子が「なめんじゃ、ねェさ!!」と槍を振りかざそうとするが、その槍が止まる。
ゴウン、ゴォンっと轟音が鳴り響けば周りの人たちが騒ぎ出す。「や、やべぇ!!」や「始まりやがった!!」っと。

「“審判の刻”だああ!!」

人だかりは焦り、慌てる。何かに怯え逃げ出しているようだ。二人の少年もやばいよっと言えば「おぼえてろ!!」と告げて去ってしまう。

「え!?ちょとなにが起こっ…」と、革は今の状況に放心気味だ。
男にどけ!っと突き飛ばされてしまったコトハを「大丈夫!!」っと支えれば、ゴオンっという音がでかくなる。

「!!」

ズンっと音がすれば、それは一瞬のことで、突き飛ばした男が太いパイプの管に飲み込まれてしまったのだ。

「なっ…」
「喰った…?」

革と一緒に目の前で起こっていることに「何、あれっ」と驚愕すれば、うわあああっと言う叫び声が聞こえた。
震え怯えるように「審判だ、今日もまたツツガ様の審判が下されたんだ!!」と、一人の男が言った。

「ツツガ様の審判!?」

あたしは「何にそれっ」と、頭を抱え込む男に聞いてみるが「よかった、今日はこれで審判は終わった」っと呟くのみだ。
革も「今のなんだったんですか」っと、同じように質問をする。管に人が飲み込まれたことと、ツツガ様とはっと。

「なんだ、おめーら、なにも聞かされないでここに送られたのか」

後ろにいた、違う男にそう告げられる。ツツガ様とはこの流刑島「ガトヤ」の管理者だと。
先程のように一日一回“審判”を行ない、罪人の中から2人を選び連れて行くと。
誰が選ばれるかは分からず、突然に刑は毎日行なわれると。

革は「連れてかれた人は!?」と聞くが、誰も知らないっと。戻らず、処刑だろうと言われる。

それに耐え切れず身投げする者もいると告げられた。
最悪な状況と最悪な場所に「早く脱出しないと」と考えれば「それで“最果ての地獄”なんですね」と、コトハが納得をしている。


「コトハ、そんな悠長なことを言ってる場合じゃないよ」

肩を掴めば「あ、巳束さん、」と驚いている。絶対にカンナギに次会ったらシバくっと思っていると、革に何かが当たる。

髪に付着した土。投げられた方向を振り向けば、先程の少年二人いた。「たいしたことねえ奴さ」っと、言っている。


「さっきは女の前でカッコつけてただけさ――!?」
「悔しかったらここまで来てみろ―」


二人の言葉に、革は頭にきたのか「行くぞ、二人とも!!」と言えばガッと走りだした。コトハの腕を掴んで。
あたしは、両手をコトハの肩を乗せていたから、たまたまだよねっと自分に言い聞かせる。コトハの腕を選んだのは。
「アラタ様、速いです――」とコトハは言うが、革は気付いていないようだ。

「ストップ、革!道分かんなくなるよっ」と告げれば、革も足を止めコトハが「迷っちゃいましたよ、アラタ様」っと言う。

少し二人の距離から離れて言えば、革がコトハとの手に気付いたようでパッと離せば「ごめん、イラついて」っと謝った。
物陰に隠れ、確認すれば周りの人たちもイラついているようだ。


「しかし、暑いよここっ」
「はい、ムシ暑いですね!確か火山帯の島って聞いたことが…」


あたしが上着を腰に結びつけ、腕を捲ればコトハも暑いと告げる。そして手の平をヒラヒラとさせて、自分を仰いだ。
ズキッと顔を顰めて革が甲を見ている。それに気付いたあたしは、持っていたバンドエイドを渡す。


「はいっ」

「巳束、大丈夫だよっ」


革から返ってきた否定の言葉に「えっ」と、声がでてしまう。
「でも、ありがとな。貰っておくよ」と笑って、革は自分のポケットへ閉まった。





その痛み、気付かない振り

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