目が覚めれば、すでに革の姿はなく側にはコトハが、安心した顔でおはようと口にした。コトハは、革があたしのことを任すといって、カンナギと特訓をつけて貰うために一足先に森へ出たと教えてくれた。


「わあ!本当に、この服頂いていいんですか?」


可愛らしい帯に着物風のデザイン。スカート丈でコトハに似合う服だ。親切に一晩泊めてくれた人に、出る間際 お礼を告げれば、服がボロボロだから替えを用意したと言ってくれた。

「私の娘時代のお古でよかったら」
「嬉しい!ありがとうございます!ほら、巳束も着て!着て!」
「待って、コトハ!あたしはジャージがあるから!」
「何言ってるんだい、折角の女の子なんだからもったいないよ」
「そうですよね!巳束も着てみてよ」

有難いことに、あたしにも替えの服を渡される。だが、ジャージがあるのでいいと断ったんだが、結局着替えされてしまった。


「コトハは可愛いけど…」

「何言ってるの!巳束、十分すぎるほど似合ってるのに。

 ――ねえ、巳束?本当にその傷を、治さなくても大丈夫」

「…傷は、大丈夫だよ。コトハがそんな状態なのに無理させられないって。それに自然治癒っていうのが備わっているんだよ?あたしには!」

「巳束…、それは誰にでもあるものだけど」

「いいから、行こう?」


コトハは大丈夫?と再度、口にするが あたしは気にしないで欲しいと告げた。なぜだか、昨日ほど痛みは感じない。それが事実だった。だから、コトハを無理させてはいけない。
革たちといる森へとあたしとコトハは足を進めた。


「脇が甘い!!まだ腰も引けてる!!」


森の中では、革は“創世”を手にしカンナギが木片を手に、特訓をつけて貰っていた。カンナギからくる、振りを防御し“創世”で払い切れば木片が二つに割れる。
これで、一呼吸を置けると思った革だったがカンナギに再度組手からと言われ、ストップと声を上げて膝を地面に着いた。休憩無しは、革に堪えていた。

「俺は貴様が、特訓してくれと頼むから面倒なのに相手してやってるんだ」
「いや、そーだけど!もう5時間やってるし…」
「まあ、剣術を学びたいというのは、いい心掛けだ」
「イザってときのためだよ。俺はともかく、ほかの鞘は攻撃してくるし…防御くらいは―――」

息を整える革に、カンナギは告げる。革を襲った奴は、劍神“逐力(オロチ)”の封印を解いたとなれば、厄介であると。


「あれは、六ノ鞘の1人だぞ」
「(門脇…、じゃあ…まさかアイツは六ノ鞘と入れ替わって…そして、十ニ神鞘の立場に!?)」
「せいぜい頑張るんだな」


カンナギが立ち去れば、カナテが崩れるように上から降ってきた。カナテは2人の様子を木の上で見ていたら、木片が直撃してそのまま落っこちてしまったと口にする。
革はカナテに昨日のことを告げようとするが、ごちゃごちゃ言わなくていいといわれてしまう。寧ろ、安心したという。革が、普通の人間であることに。


「流刑島(ガトヤ)で俺とギンチ、助けようとしたり!それこそ、鬼化してたツツガ様を救ったり!皆が恐れる十ニ神鞘たちにタンカ切ったりさ!!

 なんかカッコつけすぎ!んでもって、オイシイとこは独り占め!そりゃームカつくさ!!」

「え、あの…」

「――けどさ!!スゲェ奴さ!あと、ミツカもな!アイツ、いの一番に飛び出してさ」




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