十ニ神鞘“ヨルナミ”。宮殿へと近くになったから“創世”が反応したのかと、一瞬脳裏を過るが革は今までそんなことはなかったと思い返し、それは違うだろうと否定する。

「要するに、まだ奴も降されてはいないということだ。ここから貴様がどう奴を降すか、見せて貰おうじゃないか」

宮殿までの道順を知る、カンナギが先頭になり振り返りながら革に告げた。

「ヨルナミのところへは、直接行かない!」
「革?」
「なに!?」
「まずはヨルナミの属鞘を見つける」
「バカかお前は!戦ってのは将を倒して――」
「俺はヨルナミを倒したいんじゃない。カンナギ、あんたも属鞘たちとは親しかったろ?」

カンナギの脳裏に浮かぶのは、オヒカたちの姿だ。革は、ヨルナミがどんな神意(チカラ)を持っているかは興味がないという。

「重要なのは“相手がどんな人間か”だ。それを知るには親しい属鞘――まわりの人間に先に会うほうがいい!」
「そうだね、相手を知ることはいいことだよ」
「賛成!!革は鞘たちをただ降すんじゃない…生命(ミタマ)を授かりに会いに行くんだもの!」

革の言葉に、あたしとコトハが同意すればカナテも手を上げて賛成だと口にした。若干、呆れ気味にカンナギも勝手にしろとため息をつく。

「悠長なことをしていて他の奴に先を越されても知らんぞ!!」
「(悠長か…。でも確実に鞘を降せる方法を取らなきゃ!待ってくれてる秘女王のためにも―――)」


宮殿への道より離れた場所にて人を見つけ、属鞘のいる街を聞いた。属鞘のいる街に行くことを、未だカンナギは納得いってないようだった。
カナテがカンナギに、ヨルナミはどんな顔をしているかと質問をする。

「気の合わん顔だ」
「どんな顔だよ」
「革!きっと、カンナギよりも美形だから気に食わない顔なんだよ」
「あ〜なるほど!」
「おい、お前らなッ」

クスっと笑いが零れそうになったと同時に、革の左腕にドッと痛みが襲う。それは創世が悲鳴を上げているようで、鳴りやまない。

「また――!?“創世”!?」
「どうしたこれは!」
「わかんない…。けど、さっきよりも激しい!!」
「ねえ…知らせてるんじゃないの!?」

創世を手にし戸惑う革に、カンナギとコトハが口にする。

(知らせる…‥‥)


革と同時に顔を上げた瞬間、高台に居るはずのない門脇の姿が視界に入った――――…‥




「やっと、見つけた…‥巳束」



あたしの鼓動も、劍神が乗り移った訳でもないのに早くなっていく。門脇は一度、あたしの顔を見てから革へと視線を向けて口角をゆっくりと上げていった。そして左脚に手を翳す。

「…なッ、んで…」
「…‥‥門脇が」


門脇が手にしたのは、骨のような刀身をした劍神―――


「“顕れ たまえ”!!“逐力”!!」


黒い闇が、そのまま革へと襲いかかった。





反する、闇

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