“お前が降さなかったら”
“いずれ誰かに力ずくで降されるだけだ!”

革は放り投げた自分の“創世”と、ナグの劍神“白堊”を見てカンナギの告げた言葉を思い出していた。
巳束の腕の中で眠るナグの頭を撫で「分かってる……けど」っとボソッと呟く。革にも、それは分かってはいた。コトハは革の隣に腰を下した。


 * * *


「え!?」
「ん…、ナグ!!」

気付いたらナグを抱きしめながら、眠っていたらしく床に横たわっていた。だが、側にナグが居ない。
目の前には、革もあたしと同じタイミングで目が覚めたようで驚いている。

「おはようございます!アラタ様、巳束さん」
「あ。…食べる」

声のする方へと顔を向ければ、コトハとナグを朝ご飯を用意していた。

「ナグも早起きして手伝ってくれたんです」
「そ…そっか!ナグ、もう大丈夫か?」
「……ごめん、あたし何も手伝えなくて」
「ナグが起こさないようにって言ったんですよ。あ、お2人をお願いがあるんですって」

コトハに促されるように、ナグがあたしと革の袖を引っ張る。手毬を手にし、ニッコリと笑った。

「あのね、遊んで!」

ナグに、あたしは「もちろんだよ」っと大きく頷いた。革も同じように答えていた。
ご飯を食べれば、ナグに手を引っ張られながら広場へと向かった。
ナグから受け取った手毬をポーンっとあたしは蹴った。

「巳束、高いって!!」
「それぐらい、革には余裕でしょ」
「ったく…行くぞ、ナグ!」

嬉しそうにナグが、受け取ればあたしへと蹴り返す。その姿にあたしも革も、うまいっと声をあげた。
その後は意外に汚れてしまった革とナグが、池にて水を浴びることに。

「なんで、巳束はそんな汚れてないんだよ」
「反射神経の差かな?」
「違うだろ、当たりそうになったのを避けていただけだろうが」

ナグは嬉しそうにあたしたちを見て笑い、手に水を溜めてそれを革に目掛けて腕を上げた。冷たいと言って、それをやり返すのが革。
側で見ていたコトハが、革とあたしに大きな布を渡してくれた。

「巳束さん、拭くものです」
「ありがとう、コトハ。ナグ、体拭っこか?」

こら動かないっとナグに言って上から布で包みこめば、革がしゃがんでナグに目を合わせた。

「なあ、ナグ!俺らと一緒に首都へ向かおう!そしたら、いつでも遊べるぞ!」

ナグの頭を撫でて、一緒に行こうと告げる。その言葉にあたしとコトハが不安げに革を見れば「いいんだ」と言う。

「革?」
「アラタ様…」
「鞘が来たって俺が守れば!まずは、うるさいカンナギを説得しに行こう!」

革の言葉にコトハが嬉しそうに「ですね!」と答えた。2人は、外で待つカンナギの元に行ってくるという。

「あたしは、ナグと待ってるよ」
「分かった。ナグ!着替えて待ってろよ」
「すぐ戻りますね!」





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