革とカナテは二手に分かれ盗んだ人物を取り押さえていたが、その人物が女の子であることに驚いていた。放せっと言って、女の子はジタバタ藻掻こうとする。
「珍しい織物だったから、着てみたかっただけだよ!!」っと、口にし「返しゃーいんだろ」っと言った。


「……どーする?」
「…だって、…女だし」


悩む二人に「なんのさわぎだ?」っと声が掛かる。その方へ顔を向ければ、民族衣装を着た知らない人の後ろに巳束とコトハが土器馬(ハニワ)に跨っていたのだ。

「革!カナテ!」
「アラタ様、カナテ」

状況が飲み込めない革とカナテは「え?巳束と、コトハ?」と口にする。女の子は驚いた表情で「だんな様!!」っと言って膝をついた。
コトハと一緒に心配したよ!2人共っと告げれば「…だって、服を」と、言った。「なんだかんだで仲いいよね、2人共」っとあたしが口にすれば「そうですよ!」っとコトハが同意する。

「こんな奴、友達じゃねーよ(さ)!!」
「お、息ぴったり!」
「私も巳束さんも“友達”とか言ってないですよ」

「それよりも、こっちの人」っと、言おうとする革の足がふら付いていることに気付き「革!?」っと近づけば、そのままあたしに崩れた。

「アラタ様っ!?」
「…うむ、ずいぶん熱があるな」

だんな様っと呼ばれていた人が「全員、私の家に来るといい。うちの使用人のホニが失礼した、お詫びしよう」っと口にする。だが、まだ名を知らないことに気付き「あの…そういえばあなたは?」っと、コトハが告げた。


「これは失礼…私はオヒカ。十二神鞘(シンショウ)カンナギ様にお仕えする、属鞘(ゾクショウ)が1人――――」

「カンナギ…の、」「属鞘―――!?」

(カンナギの属鞘って??)



 * * *


カンナギはガトヤから革たちを追わず、とある場所に浮舟を着けていた。
兵士たちも、まだ城に戻らないかと「“ここ”に寄り道されてから3日になるが…」っと口にし「“アラタ”も追わずにこんな場所でなにを―――?」っと話していた。
周囲より高い丘、高台にカンナギはひとり座っていた。火焔を地に突き刺し、炎を纏っている。その目の前には、墓石らしきものがありその周りだけ草花が咲いていた。


“十二神鞘カンナギか”
“お前もいつか分かる。あやつらは強い。あれこそ、この世界を統べる劍神―――”

「――――たとえ…、それが本当だったとしても」

カンナギは劍神を手にし立ちあがって言う、この「火焔(ホムラ)」は誰にも負ける訳にはいかんっと。


「そう誰にも!この焔(ホノオ) は誰にも消させない!
 “お前” のために――――!!」




 * * *



「ん?…え、巳束?」

「よかった!革」

パチっと瞼を開ければ、安心した顔をする巳束が映る。知らない天井、知らない部屋にガバっと起き上がれば、手で支えてくれる。
え?俺っと口にすれば「高熱で倒れたんだよ」っと巳束が告げれば、カナテと知らない女の人が部屋にいることに気付いた。

「アラ!やっと気がついたのね」
「お!アラタ!」
「…カナテ!?」
「革、フヨウさんっていうの。オヒカさんの奥さんだって」

フヨウさんから革の服を預かれば「よかった、主人…オヒカを呼んでくるわね」っと、言うので「ありがとうございます!でも、無茶はしないでくださいね」っと告げた。
「大丈夫よ、呼びに行くだけですもの。でも本当によかったわね」っと小声で伝えてくれる。ひとり、革の側から離れなかったあたしに“大切な人なのね”っと言ってくれたフヨウさん。
フヨウさんのお腹に赤ちゃんがいることもそこで知ったから、無茶はしないでっと告げたのだ。


「そうだ!革の熱、コトハのお陰だから後でお礼言ってよね」

「そうさ!コトハちゃんの采女(ウメネ)の治癒力(チカラ)ってので、治してもらったさ。
 そりゃそーと…ちょっとマズイ状況さ!」



カナテは革がいるベットに腰を下せば、オヒカってのはお前と同じ「鞘(ショウ)」の1人でカンナギ様の属鞘らしいっと説明を始めた。


「もし、お前とミツカの正体がバレたら引き渡されるかこの場で―――」
「そうだ、コトハも言っていたけど属鞘って?」


革も同じように「属鞘!?…って何?」っと口にすれば、カナテがあたしと革の顔を交互に見て「はあ!?」っと声を上げた。
その革とカナテの声に反応したオヒカが「おや、この国の人間でそれを知らない?…まだ本調子じゃないな」と帳(トバリ)から現れるのだった。


「「劍神!!」」


その手にある劍神に、あたしと革が釘付けになっていた。







この世界の仕組み

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