ツツガの古き友が、人を誤って殺めてしまうが罪は罪。「罪を悔い、この島で働き更生せよ」っと告げていた。
審判(サニワ)の劍神の光を受けよ。心が変わるとき自然と島を出られるだろう。この世に生まれながらの罪人は、いないのだから。

だが、ツツガの気持ちは伝わってはいなかった。いつになっても出られないことに、その友人はツツガを陥れるのだった。

「鞘がどうした、人を裁いて何様のつもりだ。劍神と共に、そこで死ね!!」
「貴様は!信じ続けた私を、裏切ってまで!!」

ツツガは落ちたと共に劍神に貫かれてしまう。その怒りにツツガは劍神と同化する。管を伸ばして。
罪を犯した人間は変わらないのか。なら私は、この劍神はたった今「神」ではなく「鬼」となる。



“鬼の力をもって罪人どもを永遠に閉じ込めてくれる!!”



「これ、ツツガの記憶……」

「巳束も同じものを?」

「……うん」


お互いが同じものを見たことに驚けば、あたしたちの言葉に“……貴様ら…勝手に人の心を見るな”っと告げられる。

“…どのみちお前なんぞ、私の気持ちは分からぬわ…早くとどめを刺すがいい!!”

その声に、周りのガトヤの者たちも「やれ」っと口にする。革を顔を合わせれば、あたしたちは首を横に振った。
きっと革にも分かっていた。友達に裏切られた、その痛みに。あたしの言いたいことが分かっているっとでも、言うように「大丈夫だよ」っと口にする。
「―――鎮まりたまえ」っと口にし劍神を、後ろ腰のベルトへ差し込んだ。そして離さず握っていたあたしの手に、上から重ね力を入れる。


「巳束、いくぞ!!」


革の言葉に「分かってる」っと告げれば、あたしたちは劍神を抜くために力を込めた。放っとけるわけがないっと。

“愚かな…鬼と化した劍神には勝てん、死ぬぞ!!”

ツツガの言うとおり、劍神の柄から黒く腐食したものがあたしと革の腕に伸びていく。頭には“憎メ”っと響く言葉。


自分が何も出来ないことに、憎むがいい。大切に思う者に告げられず、何も出来ない自分を憎めがいい。


(確かに、あたしは何も出来ない。だけど信じることはできる、何も出来ないかどうかなんて、決めるのはあんたじゃない!!)


ハッと隣の革を見れば、顔を酷く歪ませていた。“恨メ、憎メ”記憶にある友達の裏切りに。繰り返される言葉は「友達ナンカジャナイ」っと言う声。


“裏切リ者ニハ復讐ヲ!!”


「革、しっかりして!!」


“…なるほど、お前は違うがこやつは私と同じか”


「違う!革は、」それでも、信じたいっと思っているから「だから」っと告げようとすれば“ふ、同じよ。しょせんは鬼になるか―――”っと告げられる。だが、革は自分の想いでそれを払った。


「俺には!!大事な友達だったんだ―――――!!」


きっと、今でも。俺にはまだ分からない。


「人間なんて全然、分からない!!でも独りでこんなとこ、居ちゃだめだ!!巳束、力入れっぞ!!」
「そうだよ!!恨んで苦しんで、何になるの!!」

革と一緒に「助ける」っと声をあげ、アアアアアっと力を入れれば劍神が抜ける。


「抜けた…!!」

「革、抜けたね!!」


お互いに顔を見合わせれば「ちょっとは楽になったかな!?」っと革が口にする。

“なぜだ、なぜそうまでして私を…”

「「え?」」

“なぜ、お前たちは劍神の鬼の力に勝てた”

ツツガの言葉に「あんたの過去が痛かった」っと告げれば「俺もだ、過去が見えて胸が痛かった」っと、革が口にする。
感じたのは俺と同じ。人と裏切られて悔しくて、本当はまだ信じたいっと。


「許したいって、思ってんだよね?」

「あたしは、信じて欲しいっと思って」







許したい、信じたい

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