基地から出たが、外はまだ揺れていなく、何も聞こえてはなかった。
ギンチを追うように、あたしとコトハが先に走り革が続いた。
革は、ツツガの場所のことを考えていた。外から見ても分からなかったこと、唯一ヒントになる方法は管に喰われるっと。だが、ブルブルっと頭を振らして考えを取り払っていた。

「コトハ、あそこっ!」
「あ!ギンチ君、カナテさんは!?」
「それが、まだ…」

ギンチがあたしたちに答えようとすれば、上から「オラァ!!」っという声と共に何人かの男たちが降ってくる。
その先を目で追えば、カナテが「たいしたこたねぇ、俺の弟分を傷つけた罪はおめーらのこれまでの罪で最大級さ!!」っと立ち叫んでいた。
カナテは、ギンチの側に降りれば、取り返してきた指輪を「大事にしまっとけ!」っと告げて渡していた。


「危ない!カナテ」「危ない!!」


隙を狙って動こうとした男に、あたしと革の蹴りが決まる。「モロ入っちゃったけど、平気かな」っと口にすれば「巳束、頼むから無茶すんなよ」っと、革に言われてしまう。
あたしたちが助けたことで、カナテは革に「余計なことすんなさ!」っと口にすれば「別に助けた訳じゃない、巳束が先に動いたから!それにコトハの借りは返したな」と言い返す。
「それとこれは別」っとカナテと革の止まらない口論に「まぁまぁ、2人とも…」っと告げようとすればゴゥンゴゥン、ゴゥンと轟音が始まってしまう。


「――“審判”が始まった!!」


ゴウン、ゴォンっと轟音が鳴り響く。管がズズズ…っと動けば「兄ィ!揺れが近い!!」っと口にする。

「だ…大丈夫だってギンチ!!いつものことさ!すぐに終わる――」
「あ」

「兄ィ――――ッ!!」

ゴツっと口を広げた管が、一瞬にしてカナテの頭上から吸い込むように覆い掛かり、喰ってしまう。グアァァっと口を開け、ズズン…と音を残して。

「「カナテ!!」」

飲み込んだ管に「うわああ―――っ!!兄ィ―――ッ!!」っとギンチは手にした槍を振りかざすが、ビクともしない。目の前で起きたことが、飲み込むことが出来きない。

「ウソだろ…」

震える足に、革はよろめきそうになればまたその振動が強くなる。再び大きく響く、ゴゥンっとなる音。頭上にあった太い管がバキンっと割れれば、そのまま革へと向かった。
それに気付いたあたしは、そのまま革の体へと手を押し出してた。

「え、……巳束っ」

向かってくる管に、目を閉じようとすれば「俺が!兄ィ!!俺も一緒だ―――ッ!!」っと叫ぶギンチに、あたしは押されていた。ドオォンっと響く音と共に、ギンチを飲み込んでいた。

「ギ、ギンチ!?」
「ギンチ―――ッ!!」

シュ―――っと、息を吐くように伸びた管が縮んでいく。「どうしよう!このままじゃ、2人共ころされちゃう!」っとコトハがあたしと革に声を掛ける。
停止していた思考を動かせるように、頭を何回も振れば「革!」っと、座ったままの革にあたしも声を掛ける。

「…けなかった…」
「え?」

革は「動けなかったんだ!!」っと口にする。俺がもしかしたら、喰われていたかもしれない。あいつが動かなかったら、巳束が喰われていた。あいつのおかげで―――。

「(俺は、決めたのに―――――)」

ぐしゃっと革は髪を掻けば「――2人を、助けに行く!!」っと拳で胸元を叩いた。


「このまま放っておけるか!」
「革!」
「アラタ様!」


 * * *


あたしたちは、円形の管を這いずり先を進めていた。ギンチを喰った管は、入口が広がったままだったのでそこから入り、喰った管を辿っていた。
辿れば、ツツガのところに行けると革は告げて。どのみち“ガトヤ”から脱出するには嫌でもツツガに会うしかないと、決めて。

「巳束、手」
「あ、うん」

革の手を取ろうとすれば、後ろから足を踏み外したコトハが「ふぇ、きゃっ」っと口にし、あたしと革に被さりそのまま滑り落ちてしまう。ゴォオオオっと長い管を滑り落ちれば、あたしはコトハと革に挟まっていた。

「コトハ、頭に胸が…」
「ごめんなさい、巳束さん……大丈夫ですか」
「あ、うん。大丈夫!ん?革」

しゃがみ込んだままの革に声を掛けるが、どこか様子がおかしい。「気、気にするな」っと口にするだけでこちらを見ようとしない。
そのまま革が足を進めようとすれば、脆くなった底がバキィッと足元から崩れてしまう。
崩れ落ちれそうになるのを、上半身で支えバランスで逃れれば、革はふーっと溜め息を漏らした。
「革、平気?」っと声を掛ければ「あ、うん。平気、平気」と口にする。
まさか巳束の感触が良かったとか、そんなことを思ったら天誅が当たったなんてっ言えない。そんなこと考える革に、声が掛かる。

「アラタ!?っと、ミツカかい!?」

穴の開いた底から聞こえてくる声に、「あれ、オソメさん」っと顔を出せばコトハも「大丈夫ですか」っと口にする。オソメさんと商店街で会った人たちは、捜していた子っと会えたんだねっと言い「降りてきなよ」と口にする。
だけど革は、“審判”で喰われた知り合いを助けるために“ツツガ”の所へ向かうっと言った。オソメさんたちは、殺されるだけだと言ってそれを止めようとする。

「このままじゃ、ただ“ツツガ”の審判に毎日怯えるだけで――」っと、革の言葉に被せるように「アラタ!それでも生きてけるさ」っと口にする。

「みんな、一歩先は死ぬかもしれない審判の下(モト)にいるんだ!!でも死にに行く奴は間違ってる!!」

間違ってんだよ。大切な人を泣かす気かい?っと口にする。あたしは「オソメさん…心配しないで、あたしたち死にに行く訳じゃない」っと、告げていた。
革も「あいつら放っておけないし、…秘女王との約束のためにも、大丈夫!きっと戻ります!」っと、言葉を続ける。「いざっとなったら、逃げ足が速いんで」と付け足して。
ガトヤにいるから、犯罪者とは言い切れないかもしれないっと、あたしと革はそんなことを思いながら管を下っていた。


(助言をしてくれた、あの人もきっと…)







助けるっと、決める

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