ご飯を食べた後、学校で話していたスイミングクラブへ行くと告げられる。その場所に居なかった私は、それを口にした渚に質問をした。


「スイミングクラブって、小学校のときの?」

「そうだよ、そのスイミンクラブ」


小学校の頃、通っていたスイミングクラブ。
そこが閉鎖し取り壊しの話が決まったらしく、タイムカプセルを掘り起こすっと言った三人の後を着いてきた。
ただ、ついて来たのはいいのだがその建物はすっかりと姿を変えてしまっていた。壁に描かれたイラストはペンキが流れ、建物は廃墟と化している。


「実は、ここ出るらしんだ」


お清めの塩を手にしながら、楽しそうに渚は口にする。真琴は体を震わせ、渚はその隣で説明を続けた。
私は、出るという言葉を聞いてしまったため、残ることを決めた。

「ダメだって!女の子、ひとり置いてけないよ!」
「そうだ」

怖がりな真琴や無口な遙に、危ないからと残せないと言われたが、建物の中に行くことは遠慮したかった私は、頑なに待っていると告げた。本当に、出そうな勢いだったもんで。
送り出して少し経ったとき、入り口に動く影が見える。


「あれ、外で待っていたけど…こっちに出たかもっ、」


見えた人影に ビクッと肩が揺れたが、その顔が顕わになったとき ある男の子と重なった。その人はキャップを被り直し、後ろのバンドを指で引っ張って弾いていた。
その仕草に、松岡凛であることを確信するが間違っているかも知れないっと思い、確認するように声を掛けた。


「…‥凛?」
「ん?ひょっとして、樹か?」
「ひょっとしなくても、樹ですけど。オーストラリアから帰ってきてたんだね」
「あぁ……‥先月なっ」


凛はあまりその話に触れられたくないようで、顔を背けて建物の方へと向いてしまう。あの頃の凛は、お調子者のお喋り好きだったはずなのに、その面影がない。


「お前も、ハルと同じでアイツらとつるんでるのかよ」
「それは 私の自由でしょ」
「相変わらずなんだな」
「ん?何が」


手の平をヒラッと返して「魚に飽きたら、肉でも食いに行くか?」と、立ち去り際に告げられた。


「うーん、当分飽きないと思うよ。魚好きだしっ!」


その声が届いていたようで、振り返り「お前、それも変わんねーのかよ」と、少しさびしそうに呟かれた。


――――凛は、なんで 変わってしまったの?


“再会と”


これが、きっと 始まりのきっかけ。



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