Kネタのようなもの


2013.05.16.Thursday



大好きだけど、大っきらいになった私の幼馴染み。
あなたは優しすぎる。
きっとあなたが私にも、その手を差し出してくれれば少しは違っていたと思う。


最初は二人だった。そのうち年下のキミが増えて馬鹿している三人を、カメラに収めるのが楽しくてしょうがなかった。
三人を撮るのが私の役目みたいなものだった。


全力で馬鹿をやる幼馴染みを、となりで支えていた兄のような存在であった貴方。
一歩後ろで見ていた私にも、そっと手を差し出してくれた。
気付いたら、貴方も一歩後ろで歩くようになっていて私のとなりを歩いてくれていた。


「ええよ。爪、立てても」
「で、も…傷が」
「お前なら、ええよ」


貴方の背中に爪痕を残せるのは、私だけだと思っていた。

「……その傷が証やから」

くさいセリフに笑いそうになれば、いつの間にか貴方にのめり込んでいた。

だけど、貴方の背中の“徴”を見て変わった。
傷の上に重なるように現れた、“徴”。
愛していたけど、迷いが生まれた。

いつか傷は消えるけどそれは残る。いつまでも
貴方に映るのが、わたしたちだけじゃなくなった瞬間 それは簡単に崩れていった。
分からなくなった私は、対立の場所に足を向けていた。


 * *


バーに飾ってある写真の中に、隠れるように重なっている写真。
お前が笑っている唯一のそれを見て呟いた。

「俺に傷をつけていいのは、お前だけや」



貴方の気持ちを、私は知らなかった。

私は向かった場所で君と出会う。
その“徴”を君は何回も引っ掻いているときに気がついた、どこか似ていると。

君は尊の手を一度取ってここに来たが、私は取ることが許されなかった。



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