2013.03.03


■2013.03.03





土方、斎藤、沖田の三人が見ているのは一冊の本であった。

本の表紙には、るゐぶの文字が書かれている。
彼らはある目的地に向けて歩みを進めていたのだ。

「ここが、この場所に当たるなら」
土方が言う声に「あそこの角を右に曲がるのではないでしょうか」と斎藤は、人差し指で方向を指し示す。

「えー、どれどれ。あ!土方さん、一くんここの茶屋なんか美味しそうだよ」

その目的地を確認するかのよう、土方が持っていた本を自分方へと向ければ、沖田は次の紙を捲りながら言った。


「おい、こら総司!」

「総司、いい加減にしないと日が暮れる前に着かなくなる」


二人が少し呆れ気味に言えば「いいじゃないですか、せっかくの旅なんですから」と、沖田は笑う。
しかし、それも長くは続かなかったのだ。


「まだですか。こんなことなら千鶴ちゃんとだったらよかったな」


後ろから聞こえるのは、先ほどとは打って変わってどこか疲れた様子の沖田の声だった。


「お前が、あそこで寄り道をしようと…」
「副長、総司を怒っても仕方がありません。今は宿を取れるところを探しましょう」


日が暮れた道を急ぐ、三人の姿がそこにあった。





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