第4Q
バシンッ
空中にあったボールが、相手の手に渡る。
さすがに身長差や体格差があるので、ジャンプボールは勝てない。
相手は素早くドリブルをし、ゴールに向かおうとする。そこまでの技術は、やはりキセキの世代と言われただけのことはある。けれどまだまだだ。この力では、他のキセキ…否、インターハイ優勝などできない。
まだ甘い。今まで練習をサボっていたからかは解らないけど、私を抜いて、安心している。
気が緩んでいるのが、一目でわかるほどに。
確かに、女子のバスケ選手は、普通は男子選手より、体格差や力量は劣る。
けど。
私は、私たちは、違う。
「……っ!?」
舐めてもらっちゃ、困るんだ。
後ろ向きで、手を伸ばす。
感じとれ、ボールの位置を。
相手の、呼吸を。
パシンッ
「なっ…!?」
指先が、ボールに触れた。
久し振りの、バスケットボール。
深く息を吸い、
ゆっくりとドリブルを始め、
目を瞑る。
全ての神経を集中させる。
周りの雑音が、遠退いていく。
目をゆっくり開きながら、息を吐く。
目の前にいるのは、一人。
行ける。
思った瞬間、私は、足を動かし、
ゴールへと吸い込まれる様に走った。
それと同時に、
ネットが、揺れた。
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