いざやさんいざやさん、と切れ切れの息の合間に子供が男の名前を呼ぶ。臨也はゆるゆると揺すっていた腰を止めて、組み敷く子供を見下ろした。子供は熱と覚えさせられた快楽とに瞳をぐずぐずに溶かしながら、ぼろほろ涙を零している。
どうしたの、意図せず掠れた声になってしまったが、臨也はそれを取り繕うこともせずに子供の片足を右肩へと抱えなおす。いざやさん、とまた吐息のように名を呼ばれ、そして彼はいたい、と零す。あしが、いたいと。
臨也は思わず下腹部を見下ろす。それこそ子供が泣いて喚いて思考能力なんててんで使い物にならなくなるまで執拗に前戯を施したというのに、それでも痛いのかと思わず聞き返しそうになったが、いや待て彼は足が痛いと言ったのだ。そういう問題ではないとすぐに目線を肩に担いだ細っこい足へと向ける。担ぎ上げた足首の頼りない左足は、揺さぶっている間は気付きもしなかったがぶるぶると脹脛が痙攣しているような、気がする。もう間もなく熱を吐き出そうと身悶えているのには気付いていたから、そのせいかと思っていたがどうやら違うらしい。
ああ、と臨也は納得する。なんてことはない、攣りそうなのだろう。肩に担いだ左足の、足首辺りを掴んで踵に指を添える。そのまま脹脛を引き伸ばすように引っ張って、腰を動かした。
痛みと悦楽に大袈裟に体を跳ねさせた彼は咄嗟にシーツを握り締めたが、その見開かれた瞳からは反射的に涙が溢れ出す。筋を伸ばされる痛みと中を緩い動きで擦られる悦とに、口からは悲鳴のような喘ぎのような、どちらともつかない声が断続的に飛び出した。締りの良くなった体に臨也も小さく呻くが、筋を伸ばすことも、子供を揺さぶるのも決して止めはしない。程なくして子供はひ、と息を詰めながらぶるりと欲を吐き出した。臨也も中に吐き出して、そうしてようやく子供の足から手を離す。くたりと沈んだ子供の体はシーツに埋もれて、けれどその表情はまだ痛みに歪んでいた。
ひぐひぐと嗚咽を漏らす彼の短い髪を撫でながら、あーあー、と臨也は一人で肩を落とした。ついでにため息も。折角、今日くらいは優しく優しく、彼がぐちゃぐちゃのどろどろになるまでじっくり優しく抱いてやろうと思っていたのに。そんな顔をされたら、もっと苛めたくなってしまうではないか。
彼はもう満身創痍という風にぐったりしていたが、臨也は構わず子供の体を抱き上げる。今度は足など攣らないようにと自身の上に乗せて、抱えた体をまたゆるゆると揺さぶった。


冷蔵庫には彼のためにと用意した誕生日ケーキが入っていたが、それを食べるのはまだまだ先になりそうである。







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