「あー、痛い……」
「喚くなよ」
「元はと言えば青峰っちのせいじゃないっスか」

ぶらぶらと、黄瀬は足を揺らしす。黄瀬を背負って歩いていた青峰は暴れんじゃねえよと背後に向かって一喝した。言われるままに暴れるのを止めたが、それでも何処か釈然としない風に黄瀬は口を開く。

「青峰っちがあそこで引かないから」
「おめーが無理矢理振り切ろうとすっからだろ」

背中の上で文句ばかり言っていた黄瀬だったが、青峰の言う事は正論なので強くは言い返せない。怪我をしてしまったのは最終的に自分の責任だ。それはよく分かっているのだが、それでもやはり、やるせない。

「お前さー、ぐだぐだ言ってるとマジ捨ててくぞ」
「え、それは勘弁」
「だったらもうぎゃーぎゃー言うなよ。後足も動かすな」
「へーい」

口でこそ捨てる、等と言ってはいるが、青峰の腕のが黄瀬を落とす気配はない。それどころか、まるで絶対落とさないという意思表示のように、彼の腕はあたたく、強かった。
確かに、横暴だったり乱暴だっりする部分もあるが、根は悪い奴ではないのだ。良い性格とも言えないが、黄瀬の足を気遣うくらいの思いやりは持っている。そういう男だ、こいつは。

(バスケも強くて、爽やかボーイで、顔もいいなんて)

「……青峰っちはずるい」
「はあ?」
「あんた実はモテるでしょ」
「おめーが言うと嫌味そのものだな」

二人分の荷物を抱えて歩く青峰の背中に額を押しつけた。
絶対こいつよりでかくなってやると、どうでもいい対抗心を燃やしながら。















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