折角着付けてもらった着物を身だし、颯斗は喘ぐ。乱した本人の俺が思うのもあれだがもったいない。けれど帯を解かないと行為には及べないから仕方ないと許してもらいたい。まとめられていた髪もほどけシーツの上に散らかっている。
「っは、あぁっ、んぁ!」
腰を抱えて深く穿つ。颯斗は苦しそうに表情を歪めるがその声には悦びが滲んでいてさらに腰を前に進めた。シーツを握るだけだったしなやかな腕が首に回されて吐息が耳にダイレクトに注がれてくる。颯斗、囁くとん、と吐息のような喘ぎが返された。
「ふぁ、ぁっ、あぁんっ……!」
感じる部分だけを突き上げて高みに追いつめる。ぎゅっと強くしがみ付いてきた颯斗の腰を支えてまた深く突いた。室内に響く水の音とスプリングの軋む音、そして艶やかな嬌声。快感に眩暈がしそうだ。
「ああぁっ、ひっ、やぁっ……」
胸をひっかくとよほど気持ちいいのか頭を振って善がる彼に口を寄せる。唾液すら奪い取るように激しく舌を絡めた。着物の朱色と颯斗のピンク色の髪の毛と、火照った肌、白いシーツのコントラストが目に痛い。
「っ、ゃぁっ――――!」
朱色の着物は二人分の白で汚された。
「……着物、どうするんですか」
隣で横になっている颯斗は思い出したように呟いた。ぐちゃぐちゃに汚してしまったのだ、あれではもう着れないだろう。
「あー、別にいいって。どうせもう着ないって言ってたし」
「……やっぱり会長のお母さんに申し訳ないですよ」
「気にすんなって」
ぽんぽんと頭を叩いた。ため息をついた颯斗は俺の手を払いのけると背を向けてシーツに潜り込む。その背中を強引に抱きよせた。
「颯斗」
「なんですか」
今年もよろしくな、それと着物着てくれてありがとう。
来年こそは初日の出を見に行こうと思う。
20100104