※月子ちゃん視点。ギャグ




放課後になりいつものように生徒会室に向かうと、扉の前には長身の二人の姿が。扉の前に張り付いて聞き耳立てているみたいだけど……何してるんだろう。

「白銀先輩、翼君。何してるんですか」
「おっ、書記!」
「マドンナちゃん〜、いやな。中がちょっとおもしろいことになっててねぇ」

中が?生徒会室なんだから、多分いるのは会長と颯斗君なんだろうけど……何が面白いのかな?
二人に促されるように扉に近寄ると、二人の声が聞こえてきた。聞こえてきたんだけど……

『っ、い、たいですっ……!』
『バーカ、こうしないとよくなんねぇんだよ。我慢しろ』
『でも……ぁ、痛っ!』

……えっと、確かに会長と颯斗君なんだけど。

「何……してるんでしょうか二人とも」
「な?書記も気になるだろ?」
「これは一大スクープだ!間違いない、絶対スクープだ!」

白銀先輩はどこか興奮気味にカメラを構えているけど、確かに気になる。なんていうか、ただならぬ雰囲気を感じるんだけど……
悪いとは思いつつもう一度耳をそばだててみた。

『っは、ふ……』
『どうだ?少しは楽になっただろ?』
『あ……はい……』
『にしても颯斗……』
『いっ!……っぁ、どこ触ってんですか会長!』
『おー?なんだ颯斗、もしかしてここ弱いのか』
『いたっ!……そこ、押さないで下さい……!』

な、なんか本格的にまずいような……!

「明日の一面は『会長と副会長秘密の関係発覚!?』で決まりだなこりゃ」
「おーしろー、秘密の関係って?」
「鈍いなエジソン君、中の様子を聞いてもう分かってんだろ?一樹と番長は……デきている、間違いなく」
「えぇっ!?あの、それはいくらなんでもありえないんじゃ……」
「いんや、間違いなくあの二人は黒だ。こりゃ明日は大騒ぎだぞー」

白銀先輩、完璧に乗り気だ……このままじゃ明日の新聞はとんでもないことになっちゃうかも……

「なー、いっそ開けちゃえばいいんじゃないの?」
「えっ、翼君、それはちょっと……」
「だっていつまでも廊下いるのやだしー。それに聞いてるだけじゃつまんないし」
「き、聞いてるだけって……」
「まぁ、確かに。スクープだし写真は欲しいとこだよな。いっちょ突撃してみますか」
「おう!さすがおーしろー、話が分かる!」
「え、ちょっと二人とも……」

二人が扉を開けようと身を乗り出してくるから私は押されてしまって、咄嗟に扉の取っ手に掴まった。そのままバランスを崩してしまい――

「きゃっ!」「うわぁ!」「うぉっ!?」三者三様、悲鳴を上げて私達は倒れ込む。その拍子にガラガラと扉が開き、押し潰されながら目を開けると中の二人とばっちり目があった。

「何してんだお前ら……」

呆れたように呟く会長、そしてびっくりした顔をしている颯斗君。ソファに座っている颯斗君は何故か片足だけ制服を捲り上げて、靴も脱いでいる。会長はそんな颯斗君の足元にしゃがみ込んでいた。

「……一応聞くけど、一樹と番長何してんの」

白銀先輩がずれたゴーグルを直しながら尋ねると、会長は見てわかんねえのかと肩を落とした。

「こいつが立ち上がった拍子に脹脛攣ったって言うからよ、伸ばしてたんだ」
「会長は荒療治すぎます。本気で痛かったんですよ、今の」
「悪い悪い。でもおかげで治っただろ」
「……足裏のつぼまで押す必要は全くなかったと思いますが」
「お前意外に血流悪いのな」

ため息をつく颯斗君は捲り上げた制服を直しながら全く、と呆れているようだった。会長も立ち上がると何事もなかったかのように仕事に戻る。

「んで、お前らはいつまでそこで寝っ転がってんだ。つーか桜士郎、なんか用か」
「いや……疲れたから今日は帰るよ……」

白銀先輩はとぼとぼ肩を落としながら出て行った。相当がっかりしてるみたい。
うん……なんていうか、ちょっとほっとした。そうだよね、会長と颯斗君が、あり得ないよね、うん。

でも、その日一日は颯斗君の顔が赤らんでいたのは……私の気のせいかな?





091229






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