(はずかしい)

恥ずかしい恥ずかしいしずかしい。

(く、るし、)

苦しい苦しいくるしい痛い痛いいたい。

(で、も)




「きもちいい、がっくん?」

ぬち、と変な音がして中が引き攣った。ひぃ、と情けない悲鳴が勝手に口から飛び出すけど、それを堪えるだけの余裕はもう僕にはない。

「あ、んんっ、ぁ……」
「がくと、こえかわいい」
「ひっ、あぁぁっ!」

ぐりぐりと僕の中に入り込んでるサイケさんの指が内壁を擦る。お腹の裏側辺り、その辺りを指で押し潰されると体が熱くなってじわじわと変な感じがして、下半身に熱が溜まっていく。口から声が出るのも止められない。自分の体なのに、一体何がどうなってしまっているのか、僕にはてんで分からなかった。

「あっ、ふっ、ふぁ……」
「がくと、がくと……」
「あ……さいけ、さん……」

うつ伏せにされていた僕の肩をサイケさんが掴み、ぐいっと上半身だけを後ろに向けられた。サングラスを払われ、サイケさんもいつもは絶対に離さないピンク色のヘッドホンを取り払った。そのまま近づいてきたサイケさんの唇が、僕のに重なる。

「あん……んぅっ、んん、」

正直苦しい。無理な体勢に体が悲鳴を上げるもサイケさんは気にした風も無くて、そのまま僕の口の中を好き勝手に荒らし回る。舌が絡んで唾液が溢れて、舌先を軽く噛まれると首の後ろ側がぴりぴりとした。中に入っている指がまた一本、増やされる。

「んっ!んん、ふぅ、うんぅっ!」

三本になった指が中を広げるように蠢いて、さっきのお腹の内側辺りを容赦なく擦る。擦る、といよりは抉る、って言った方が正しいかもしれない、びりびりとする体、ぞぐそくする背筋、熱くなる全身。

「っ、がくと、」
「ふはっ、……は、ふ……」
「前すごい濡れてる……きもちいいんだ?」
「うぁっ!……やぁ、やっ……」

反対の手が熱を持つ僕の自身を掴んだ。長い指が絡んでにちゃにちゃと扱かれる。

「ああっ……あ、やぁぁっ、んゃあっ!」

またうつ伏せになって床をひっかく。前と後ろ、両方を弄られて頭の中が真っ白になりそうだ。

「いれるよ、がっくん……」
「っ、は、い……」

今度は体を仰向けに返された。覆い被さってくるサイケさんの頬も上気して汗ばんでいる。余裕のなさそうなその顔に、彼も興奮しているんだなと知って恥ずかしくなる。けれどもその羞恥を凌駕するくらいに、嬉しい。

「んっ、ん……」
「っ、は、きついね……」

みちみちと熱が入り込んでくる。苦しいし微かな痛みもあったが全てが中に収まった。お腹の中に変な感じがして、下腹部にすごい圧迫感がある。違和感がして気持ち悪いと思わなくもないけれど、サイケさんと一つになっているのだと思うと、やっぱり嬉しかった。

「うごく、よ……」
「は、い……んっ、ひ、あっ」

ゆるゆると熱が出入りし始めた。熱くて太いそれが入口まで出かかって、そしてまた押し入ってくる。

「ん、んんっ、あ、あんっ」
「がくと、力抜いて」
「ゃっ……む、り……」

覆い被さるサイケさんにそう促されるも、息継ぎもまともに出来ないのにそんなこと出来っこない。サイケさんは仕方ないなあと呟くとまた前に指を伸ばす。くちくちと先端を握り込まれて、抜き差しのスピードが早くなった。

「あぁぅっ!ひゃ、んゃあぁっぁ!さ、いけ、さっ!」
「学人、腕、くびにまわして、」
「ひっ、はうっ、んんっ、あぅっ!」

縋る物が欲しくて言われるがまま、サイケさんの首に腕を回す。サイケさんの熱がお腹の内側の感じる所ばかりをごりごりと擦るから、意識が本気で飛びそうだった。

「あぁっ!さ、けっ、さん!だめ、だめぇっ……」
「がくと、イって、いいから……」
「やぁぁっ!んんっ、あぅ、うぁぁっ!」

水の音が激しくなる。熱くて気持ち悪くて、でもすごく、

「さい、けさん、すきっ……すき……!」
「うん……おれも、すき……」

(きもちいい……)

「んっ、あぁぁっ!」

どくんと熱が弾ける。中にもじわりと熱が広がって、びくびくと蠢くサイケさん自身をまざまざと意識してしまう。
荒い息を繰り返しながら、サイケさんが額を撫でる感触に目を細めた。

「がくと、どう?」
「あ……大分、軽く、なりました」
「そ、よかった」

にっこりと笑うサイケさんに色気も付加されて、その笑顔がいつもの無邪気なものよりとても艶やかに僕の眼には映る。それが恥ずかしくてサイケさんの胸に顔を押し付けると、また「かわいー」と言われて頭をなでられた。

「でも、あの……もっと、他に方法はなかったんでしょうか」
「なにが?」
「データの、移動とか……クリーンアップ、とか……」
「えー?でも、こういう仕様に改良してくれたの臨也君だしなぁ……」

たしかに、システムやプログラムの容量が大きすぎてエンストを起こしかけていたのは僕だ。体が重くてまともに動かせないくらいに酷かった僕を、ただのメンテやセキリュリティを担当しているサイケさんにはどうにもできない。そこでサイケさんがわざわざ臨也さんの所まで行って相談してくれたらしい。
その結果、キスやこうした性行為……いわゆる、その、セックスって奴で、互いのデータの行き来やクリーンアップが出来るように改良してくれたのだ。軽いデータの移動ならキス程度で事足りるけど、大容量となると体を繋げる必要も出てきてしまう。今回の僕の症状はとても酷かったから、キスだけでは足りなかったのだ。

「がっくんは嫌なの?俺とこういう事するの」
「いやって、わけじゃ……」
「俺はね、嬉しいよ。がっくんと一緒に気持ちよくなれて」
「サイケさん……」
「知ってる?セックスってね、人間が大事な人と愛を深めるためにする行為なんだって。俺達はプログラムだし機械だからそんなの無理だと思ってたけど……こうして学人とできて、すごく嬉しい」

ふやけた笑顔でそんな事言われてしまえば、もう僕は何も言い返せない。また俯いて、せめて赤い顔を見られないようにサイケさんの体を抱きしめた。

「だから今回は臨也君に感謝だね」
「……はい」

正直とっても恥ずかしい。恥ずかしすぎて死んでしまいたい。でもサイケさんがそんなに喜んでくれるのなら、僕も嬉しい。

「すき、だーいすき、愛してる、学人」
「ぼ、くも……あ、愛して、ます」

だったら羞恥心くらい、なんとか我慢しよう。
大好きなサイケさんのために。




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多分臨也さんは帝人君に無断で改良した。
後に帝人君はこの事実を知り卒倒する。


(10/11)






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