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男たるもの男の中で切磋琢磨し磨かれるべきである。


…というか、その今時の草食男子まっしぐらな智に不安を覚えてるのよ、お母さんは!智にはもっと強くたくましく雄々しい男に育って欲しいの。
どうせ、適当な高校に行って適当に卒業して適当に就職するつもりなんでしょうけど、適当に就職なんてできないからね!もっと自分を持ちなさい!あんたは律くんみたいに見目がいいわけでも頭の回転が速いわけでもないんだから、せめて精神だけは強い男に成長して欲しいのよ。分かるでしょ?

だからこの学校で、しっかり磨かれて来なさい。

なによ、そのやる気のない顔は。
返事は???


そう母に怒涛のマシンガントークで言いくるめられたのが約2年前。
それから死に物狂いで勉強…したわけではなく、別にそこまで偏差値の高い高校ではなかったし俺自身めちゃくちゃ馬鹿なわけでも無かったので(平均的)普通に受験勉強と面接練習をして晴れて合格。その後入学したのが1年前だ。

実際問題特に行きたい高校とか無かったし、男ばかりの男子校ってどんなんなんだろ…という興味はあった。
しかも全寮制という、親元を離れて暮らすという生活にも実は少し胸を躍らされていたんだ。

だから別に全寮制の男子校なんていうむさ苦しそうな高校に入学したことについてはそこまで後悔はしていなかった。
初めは。うん。女子がいないのは寂しかったが逆に女子の目を気にせず生活するのはそれはそれで楽でもあった。


ただひとつ問題があるとすればこの高校がなかなかに校則が厳しく閉鎖的な環境にあるということだ。


その厳しい校則というのが、寮生活にあった。実は一度入学入寮してしまえば、実家に自由に帰れないのである。

学校の長期休暇、家族からの帰省命令、あと、これは当たり前だか親族の病や危篤の知らせ、そういった事がなければ実家には戻ることができない。
無断で帰省してたことがバレると処罰がある、らしい。
らしいというのは噂で聞いただけだからだ。だが、みんな口を揃えて言うので多分これは間違いないと思う。

そのため必然的に寮内、または校内は閉鎖的な空間となり外部からの刺激がほぼ無くなる。

さらに周りはみんな男。先生も男。清掃員のおじいちゃんも男。寮の管理人さんももちろん男。この空間には男しかいないんだ。

そうなると、思春期真っ盛り、性欲もりもりな我ら男児がどうなっていくか…お分かりいだけるだろうか。

欲を持て余した男児たちの向ける矛先は、同性しかない、ということだ。

だいぶ遠回しに言ったが、要はホモだらけの高校だったということである。どうだ、やばいだろ。


もちろん俺も最初はいくらなんでもそれは、と思ったよ?


でもな、健全な男子高校生である我々の性への興味、関心は底無しなんだ。
寝る食べる遊ぶこと以外はほぼエロいことばっか考えてる!多分ね!8割はそうだと思うね!

要は、セックスしてえ、これに尽きる。
セックスできるなら男でも問題ない。
恋愛対象になる。

至極シンプルなことだった。


とまあこの流れで話を進めてしまうと、こんな話をしている俺自身がホモなんじゃないか思われてしまうので、早々に言っておくが俺はホモじゃない。
同性は友達対象であって恋愛対象ではない。ノーマルだ。確か、ノンケとも言う。
もちろん女の子が好きで、付き合うなら絶対に女の子がいい。ついでに言うとちょっとつり目で胸の大きな女の子が好きだ。さらにちょっと勝気で、別に!あんたのことなんて何とも思ってないんだから!なんて顔を赤くしてテンプレを口にしてくれるような子が好きっ……おっと。モテない男子にありがちないつもの妄想が発揮されてしまった。危ない危ない。

まあそういうわけで、この学校はノーマル思考の俺にはかなりヘビーな学校だったわけであるが…その点については少々後悔していた。
だがそれ以上に俺をゲンナリさせている原因があった。


それはーーー、


「だァッ!!やめろ、バカ!!俺はお前をそんな子に育てた覚えはありません!!」

「そりゃそうでしょ。智ちゃんから産まれてたら俺ら近親相姦になっちゃうじゃん」

「ぎゃぁぁぁ!?寄るな!触るな!近付くな!ちょっ…おっ、ボケェェェ!?」

小学校から一緒の腐れ縁でかつ親友の浅倉 律が、この学校に染められてしまったことである。


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