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「#幼馴染」のBL小説を読む
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「え!?ケーイチって学年1位なのか!?」

「そうそう、こいつ頭だけは良いんだよ」

「頭だけで悪かったね」

話題の中心人物であるケーイチはふん、と鼻を鳴らして定食の焼き鮭をつついた。

俺は驚きでつるんと落としたうどんを、再び掴みながら尊敬の眼差しを向けた。

「へ〜!凄いな!委員長してるから頭はいいんだろうなって勝手に思ってたけど」

「委員長なんてみんな面倒臭いことしたくないから、押し付けられただけだけどね」

「よく言うよ。自分から進んで手ぇ挙げてたじゃねえか」

佳威は大盛りのカツ丼をもう3分の2以上食べきっている。さすが腹が減ったと煩かっただけのことはある食べっぷりだ。

「どうせみんなやりたくなくて時間が過ぎるだけなんだし無駄な時間をかけたくなかっただけだよ」

ケーイチは意外と物事を論理的に考えるらしい。

「でも、俺はケーイチが委員長してくれてて良かったよ。転校して最初って何かと心細かったけど、ケーイチみたいな優しいヤツで安心したもん」

「俺も睦人に喋りかけるキッカケができて委員長やってて良かったって思ったよ」

にっこり笑いかけられて、思わず照れた。
それを佳威が面白くなさそうに食べきった丼をドンッと置いた。って、食べるの早!

「お前らなに恥ずかしいこと言い合ってんだよ。他所でやれ他所で」

「なに、佳威。ヤキモチか?」

「はあ?」

「いやいや、ちょっと待て!そのくだりはさっきもやっただろ!はい、終わりー!もうこの話終わりー!」

また言い合う流れになりそうだったので俺は慌てて二人の視線を両手で遮って叫んだ。
二人もそれで気がそれたみたいで、ケーイチは再びご飯を食べだした。佳威は食べ終わってしまって手持ち無沙汰なようで、携帯を触る。

「そういや睦人はなんでこの学校に来ることになったんだ?」

「あー…、俺は親父の仕事の都合。こっちに転勤になって」

俺に聞いてきながら、佳威は携帯は?とジェスチャーする。
ピン!と来た俺はすぐに携帯を取り出して
今やメインの連絡手段であるSNSアプリを開いた。

「ん、俺も」

ケーイチも気付いたようですぐにズボンから携帯を取り出してきた。

「でも、ここの編入試験大変だったんじゃない?入ってきた子に聞いたけど、すごい難しかったって言ってたよ」

「あ〜、…そう、だったような。まあでもそんなこともなかったような」

「えーなに?もう忘れたの?睦人こそ実は頭いいですっていうオチ?」

ケーイチが面白そうに笑った。ケーイチの笑顔ってほんと優しそうで安心するな〜

「いやいやいや!それは無い!ありえない!俺の脳みそなんて平凡あるいはそれ以下だと認識しといて欲しい!」

「そこまで言う?」

自嘲発言が面白かったのか声に出して笑うケーイチ。
そこに手元の携帯がヴーヴーと震えて、手元の携帯を見ると、画面に2人の連絡先が無事交換されたことが表示されていた。

「あ、きたきた!二人ともありがとう!」

「いつでも連絡してこいよ」

「そうする!」

ニッと笑う佳威に、同じように笑顔で返した。

それにしても転校初日から連絡先交換できる友達できて良かった。色々と噂の多いこの学校で、友達ができるか不安だったが杞憂に終わったみたいで安心する。

一人は極道の息子(次男)で、一人は学年首席というなかなか個性の強い面々だが、転入した俺に積極的に声を掛けてくれたんだから凄く優しい奴らだ。

昔から友達には恵まれる方なのかもしれない。


―――あいつ元気にやってんのかな…


友達、と考えるたびに思い出す幼馴染の存在。
父親の転勤がキッカケで必然的に俺も一緒に転校することになったが、引っ越し先のここでも高校は他にもいっぱいあった。

でも、俺はここしかない、と思った。

多分あいつはこの学校にいる。

ストーカーみたいな思考に自分でもちょっと引くけど、どうせなら親友のあいつにまた会いたい。
ただここは県内最大級クラスのマンモス校だからどこのクラスなのかまだ分からなかった。

先生に聞くのがいちばんてっとり早そうだが、少々事情があってそれはできれば最後の手段にしたい。

さて、どうしたものか。


「うーん…」

「どうかした?」

「あっ、いや、」

考え事をしていた為かつい唸ってしまっていた。焼き鮭定食を食べ終えたケーイチが怪訝そうな顔でこちらを覗き込む。

「やっぱりうどんだけじゃ足りなかったんだろ」

ほらみろ、みたいな感じで佳威が言ってくる。

「佳威と一緒にするなよ。でもほんとどうしたの?具合悪い?」

「違う!違う!全然平気だし体調も悪くない!ただ…」

心配そうな顔のケーイチを見て、言葉に詰まる。

―――あれ?てか、あれだよな。
先生に聞くのは最終手段にしたいが、こいつらになら聞いてもなんら問題無いんじゃ…というか問題ないじゃん。

俺気付くの遅ぇ!

「あのさ、変な事聞くかもだけどさ」

「うん、なに?」
「んだよ遠慮すんな」

2人の視線がこちらに集中する。

「この学校に…荒木…」

そこまで言いかけたところで突然食堂内がざわつきだした。




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