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「#幼馴染」のBL小説を読む
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【番契約】それはαとΩにのみ適応される魂の繋がりを意味する。


要は結婚みたいな事なのだが、番契約は通常の結婚よりも重く、そして深くつながる事ができる。

αとΩが番契約をすると、その関係は深く深く絡みつき根をはって一生離れなくなるのだ。

番契約はΩにとっていいことばかりだ。
αと番になれば発情期に訪れる見境のない誘惑フェロモンが番のαにしか効かなくなり、無闇に襲われるという恐怖から解放される。

さらにその番契約に【運命の番】というものがあるのだが、こちらも要約すると運命の赤い糸で結ばれた相手…みたいなものだ。

にわかに信じがたいことだがごく稀にそういった相手に出会えることがあるらしい。
運命の相手に出会い、番となることができれば、お互いに幸せな未来が待っている、なんて言われている。


だが、その運命の番に出会える確率は本当に低く、通常では最初に説明したように運命など関係なくαとΩでの番契約が完了される。

ちなみに番契約はαとΩのみで、βとはどちらもその契約は成されない。



「まあ…そうだな、俺は信じてる。つか俺の親父とお袋がそうだったから信じるしかないというか…」

佳威がペットボトルを手で弄びながら答えた。

「え!?そうなのか!?」

「そーそー、もう気持ち悪ぃくらい仲いいぜ。そのおかげで俺も兄貴もαだしな。…それにジジイもその前のジジイもみーんなΩと番契約を交わしてっから、運命の番は別にしても俺にも番は必ずΩを見つけろってうっせーんだよ」

だからこの学校に押し込まれた、と佳威は目を細めて遠くを見つめた。

そういえば家の関係でみんなαが産まれるようになってる、みたいなこと言ってたな。それはそういうことだったのか。

「そう、だったのか…。まあでも運命の番に出会えたら幸せになれるって言うし、出会えたらいいな」

「…出会ってほんとにそんな気持ちになれんのかっつーのは疑問だけどな」

ハッと乾いた笑いを浮かべて佳威がこちらを向いた。

「そういうお前はどうなんだよ。信じんのか?…つか聞いてなかったけどお前ってβ?αじゃなさそうだし…」

明らかにαじゃなくて悪かったな!なんて軽口を叩こうと思ったが、佳威がなんだか真剣な顔をしてこちらを見つめてくるのでやめた。

そして一息吸う。



「俺はβだよ」



「…だよな」

佳威の瞳が一瞬揺れたような気がした。

「…おーい!」

ハッと声のした方を向くと俺たちが出てきた場所から、ケーイチが手を振っていた。
片付け終わったんだ。俺も手を振り返し、ケーイチはすぐに走ってこちらに向かってきた。

「お待たせ。ていうかここで待っててくれたんだね。教室で良かったのに。ありがとう」

「あ、いや、そんなこと。ケーイチの方こそ片付けごめんな、ありがと」

「気にしないで。それよりフェロモンにやられた光田クンは元気になった?」

「うっせ。もうだいぶ良くなった。…悪かったな」

「いーえ。ところでふたりで何話してたの?」

ケーイチが首を傾げる。

「あー、佳威の番探しの話と…」

「おい、俺は別に探してるわけじゃなくて、親父たちがうるせーってだけの話だからな!」

「へえ、佳威話したんだ。いいよねえ、番契約。αの特権だよね〜」

「そうそう、んであとは俺がβだっていう話」

「え?」

「え?」

ケーイチが何言ってんだこいつ、みたいな顔をして見てくるので、俺も思わず同じような顔で見つめ返してしまった。

「な、なんだよ。俺なんか変なこと言ったか?」

「睦人、βなの?」

「そうだよ。どう見てもαじゃないしβじゃん。これでも昔はαだと夢見てたんだからあんまり言ってくれるなよ」

「…あー…うん、そっか。そうなんだ。じゃあ俺と一緒だね」

なんだか意味深に言葉を濁すとケーイチは、じゃあそろそろ戻ろうか!と教室に向かって歩き出した。

「ケーイチどうしたんだろ…変な奴」

「あいつはいっつも変だろ」

多分、そう思ってるのはお前だけだ。俺会ったの今日が初めてだし。

もうすっかり顔色の良さそうな佳威に、そう心の中で突っ込みを入れて俺も立ち上がって歩き出した。




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