プロローグ
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その男はある日突然私達の前に現れて、ある日突然私達の前から居なくなった。

その男は毎日私に飽きるほどくそ甘いお世辞を述べていた。

「マチさんはいつもお美しいですね。まるで天使のようです。いえ、私にとってマチさんは女神様のような存在です。愛しています。」

さらりと告白まで混ぜてくるとは…あと、そういえばあの男は毎朝、起こすという名目で人の寝込みを襲おうとしていた。

そいつを簡単に説明するならば紳士みたいにしているくせに実はヒソカよりヤバい変態な男、変態な紳士、だから私はその男のことを"変態紳士"と呼んでいた。


桜の花がひらりと舞う。そろそろ桜も散る時期に入ったようだ。そういえばここはジャポンか…。クロロも物好きだと思う。毎年この時期になるとクロロはジャポンにアジトを移動をさせる。理由はただ一つ、その男がもう一度私達の前に現れるかもしれないからだ。その男が消えてからこんなことを繰り返している。こんな春を毎年過ごしている。ここで春を過ごすのはもう五回目、あれから五年も月日が経っている。

あの男が急に私達の前から居なくなった理由が分からない、けどその前に私達の前に現れた理由も分からない。結局、私はその男についてよく知らなかったんだ。その事実に気づかされただけ。

目を閉じれば、あの変態紳士と過ごした懐かしい日々が瞼の裏に映る。

そういえば最初の出会いは酷かった。




   

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