主人公
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名無しの権兵衛は絶望していた。
何故か?その理由は・・・

「おーい!今からテストを返すぞー。」

『ぎゃああぁあああぁぁあぁあ!!!』

「名無しの、うるさいぞ。テストの点数を見てからそれを叫びなさい。」

理由はそう、テストの返却である。権兵衛の学校では先日、期末テストが行われた。そのテストが今日返却されるのだ。
この日が一生訪れないことを権兵衛はどれだけ祈っていただろう。毎晩夜空の星に願い、そして折り紙に願い事を書いて千羽鶴を折ったほどだった。
そんな権兵衛の努力と願いは非情にも報われることがなく、みんなの同情の視線を浴びながら先生から答案用紙が渡された。

数学α
名無しの権兵衛 15点

国語A
名無しの権兵衛 23点

国語B
名無しの権兵衛 20点

英語T
名無しの権兵衛 37点

物理
名無しの権兵衛 39点

5教科総合 134点

答案用紙と総合点数を見て権兵衛は絶句した。現実逃避をしようにもすることが出来ず、そのまま固まってしまった。
ちなみに今回、権兵衛が受けたテストは1教科100点満点の総合500点満点のものである。権兵衛の学校の赤点は40点未満からである。見事に権兵衛は5教科全てのテストで赤点をとってしまったのである。

#名前の#担任である塚原は頭を抱えた。
スマートな体型で腕と脚が長く、顔は小さくて綺麗に整っている我が校屈指の美人である権兵衛は生徒から絶大な人気を得ているが、彼女には全くと言っていいほど勉学の才能が無かった。
あそこまでのルックスを誇らなくてもいいから、少しでも勉学の才能を備えていてほしい・・・。教師陣は権兵衛の悲惨な成績を見てそうため息をつくのであった。
権兵衛はもう高校3年生だ。権兵衛が無遅刻、無欠席の皆勤賞でなければ留年も十分あり得ただろう。
権兵衛は決して悪い生徒ではない。
おおらかで猜疑心のかけらも示さず、何事にも前向きに全力で取り組み、天真爛漫で笑顔をいつも絶やさず分け隔てなく優しい彼女はむしろ良い面ばかり持ち合わせている。それに彼女は運動神経抜群で、スポーツをさせると必ずと言っていいほど良い結果を学校へ持ち帰って来る。
権兵衛は頭のことさえ忘れてあげれば素晴らしい生徒なのである。
しかし、現実はそう甘くなくて権兵衛の頭のことを簡単に忘れさせてはくれない。厳しい現実を権兵衛に押し付けるのであった。
担任として何とかしてあげたい・・・。塚原は常々そう思っていた。
そこでふと、塚原は大学時代の親しい友人のある男の名前を思い出した。あの男ならこいつの絶望的な悲惨な成績を上げることが出来るかもしれない。
塚原は僅かな希望を胸に携帯を取りだし、懐かしい友人の番号を押した。

その時、権兵衛は自宅で母親に成績のことで長〜い説教をされていた。
果たして彼女の成績はどうなるのだろうか?この先はまだ誰も皆目見当つかない。

<つづく>


   


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