にねん | ナノ



初めて出会ったのは、中学2年のときだった。
あの日、あの場所で、…きっと初めての恋をした。
すっごく、キラキラ輝いていた気がする。
楽しげにバスケをする彼が。
いや、きっと間違いなく輝いていた。少なくとも、俺の目にはそう映っていた。
そうしてそれは、今も輝き続けている。俺の心の真ん中で。

「青峰っち、次のオフ一緒っスよね!」
「あー、たぶん」
「わんおんわん!わんおんわん、するっス!」
「またかよ」
あれから時が経ち、離れたりもしたけれど。
やっぱり、この場所は俺にとって一番大切だから。
今日も、俺は彼の隣にいる。
そうして、きっと明日も同じに。

「青峰っち」
「あ?」
「俺、あんたに出会えてよかった」
出会わなければ、知らなかった世界だった。
見えなかった景色。笑い合えなかった仲間。
最初の偶然から始まった、たった一度の本当の恋も。
きっと、奇跡みたいな確率の。途方もない幸福なんだ。
「…俺も、だよ」
最近、すっかり優しく笑うようになった青峰っちは、俺の言葉にそう言うと、そっと抱き寄せた。

…奇跡みたいな出会いだった。
だけど、それは花火みたいな儚い一瞬の煌めきなんかじゃなくて。
これからも続いていく、想い。
永遠なんてあるのかはわからないけど、あればいいなと思うような。
流れていく時間に置いて行かれないように、ずっと一緒に歩いていく。
後ろを向けばあるのは思い出じゃなくて、軌跡であるように。
きっとこれから先も、俺は彼に、そんな恋をしていく。

キセキみたいな恋でした
(宝石みたいに輝き続けますように)

20130709

奇跡、軌跡、貴石。テーマは同音異義語です。
『キセキの世代』がカタカナなのはきっとそんな意味を込めているのかもしれないと勝手に妄想してみたりしている。
そして普通に幸せな青黄をすごく久しぶりに書いた気が…。
ちなみに、これがいつの話かは私にもわからん。ひょっとしなくても今よりは大人かもしれない。



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