おーふりゆめ | ナノ

ひだまりのいろ


ふわふわ、きらきら。
目を開けたら、綺麗なそのいろが真っ先に目に飛び込んできた。

仲沢家でいちばん日当たりのいい、天窓のついた利央の部屋。
私が来たときにはまだ利央は部活中で、いつもみたいにお母さんにここに通されて。
しばらくごろごろしてるうちに、眠ってしまっていたみたいだ。
利央が帰ってきたのに気がつかないなんて、どれだけぐっすりだったんだろう。
でもしょうがない。今日は絶好のお昼寝日和だ。
それは利央にとっても同じで、だから私が腰に回された腕からそっと抜け出しても、長いまつ毛が揺れることはない。
そのまま起き上がって、ベッドサイドに腰かける。
もう私は眠くないけど、利央を起こすのは可哀想だ。それに、この場所は結構好き。
ふわふわ、きらきら。
寝返りを打つと合わせて揺れるそれ。
見るだけであたたかな気持ちになるいろ。
触れてみれば、あれだけグラウンドにいるにもかかわらず、見た目通りのふわふわ。
さらさらと梳くように撫でてあげると、眠ったままながらくすぐったそうに笑う。
それにつられて自分の顔も微笑むのが、鏡を見なくてもわかった。

きっと、もう少し。
もう少しで利央は目を覚まして、ちょっと寝ぼけた声で夏葉サン、って呼んで。
その時間ももちろん幸せだけど。
だけど、今はこの目の前のいろを、もう少しだけ見ている。
大好きな、私の幸せのいろを。

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