俺とお前と青い空と、 | ナノ






>>02

借りた身で言うのもなんだが、利央の自転車はボロい。
なんでも呂佳さんのお下がりとかで。
そりゃ納得だ。
あの呂佳さんが無機物を大事にするとかありえない。
有機物すらぞんさいな扱いなんだから。
空気があまり入っていないタイヤに、帰ったら空気くらい入れてやっかと思いながら、鍵穴に鍵を差し込む。
チャリにまたがり、ペダルに足を乗せる。
ここからうちまで三駅、チャリなら20分くらいでつく。
利央の家はうちと学校のちょうど真ん中あたりだ。
試しにブレーキを握ってみたら、ほんのゆるくしかかからず、ため息をつきたくなった。
これはまじで怖いぞ利央…。

あまりスピードを出さず、家に向かってチャリをこぐ。
予定より時間がかかってしまうが仕方ない。
万が一怪我でもしたらタケに殺される。
街中を通りすぎ、家までもう少しの河原をまっすぐ走る。
このまま走れば、5分もしないうちにうちにつく。
……はずだった、のだ。

「あれ、もしかして高瀬?」
どこかで聞いたことのあるその声が、俺の名前を呼ばなければ。




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