俺とお前と青い空と、 | ナノ






>>03

「…いいか?言ったとおり言えよ?」
玄関の前で、念を押すようにもう一度榛名の顔を見る。
普段は俺の方がこの家の主であろうと、今は榛名の体なのだ。
学校も違う初対面の野球部男子がここで「ただいま〜」などと陽気にドアを開ければ、いくら呑気な母さんでも警戒する。
…いや、普段からそんなことしないから俺の体でやっても警戒されるか。
とにかく、いつも通り。怪しまれてはいけない。
神妙な顔で頷く俺…の姿をした榛名に俺も頷き返すと、そっとチャイムを押した。

「あら準太、意外と遅かったのねー。そちらお友達?」
「……」
なんか言えよ!
なぜか固まってる榛名に、不思議そうに首をかしげる母さん。
しかたなく榛名を押しのけ、笑顔を作って母さんを見る。
「はじめまして!武蔵野第一高校の榛名元希っす!ちょっとお邪魔しますね!」
「あらあら。どうぞどうぞ」
幸い、うちの先輩たちや利央のアホな所業に慣れてる母さんが動じることはなく、微笑みながら二階へと通してくれた。

「…なにやってるんだよお前は…」
「……高瀬の母ちゃん、おっぱいでかいな」
「どこ見てんだよ!」
部屋に入り、俺の顔で未だ固まっている榛名の頭を小突くとそんな返答。
…俺の顔で、俺の母さんにそんなこと思わないでほしいんだけど。
「準太ー、ご飯はー?」
下で呼んでいる母さんに俺が答えるわけにはいかず、今度は顔を赤らめている榛名をつつく。
「あ、いただきま、…えっと、食う!」
……大丈夫かこいつ。




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