俺とお前と青い空と、 | ナノ






>>02

「おい、これなんだ高瀬。ドッキリか?」
「俺に聞くなよ…」
聞きたいのはこっちだ。
どうやら、ふたりの見えている情報を総合すると。
俺の体が榛名になっていて、そこに見えている俺の中身は榛名らしい。
どこの漫画だよ、この展開。
誰か夢だと言ってくれ…。

きゅるるるる…
絶望に頭を抱えそうになったところで、なんとも間抜けな音が響いた。
目の前の、…つまりは俺の体。をした榛名から。
「なんだ高瀬、腹減ってんの?」
「…っせーな!帰ってこれから飯なんだよ!」
榛名の腹が空いているのかと思ったのだけれど、不思議と榛名になった俺は空腹を感じない。
「…お前はなんか食ってきたのかよ」
「おー、先輩とカストでなー」
…くっそうらやましい。
俺だって育ち盛り。部活後に何か食べて帰っても夕食に支障が出るはずもないのだ。
今が小遣い日前でさえなければコンビニにでも寄ってたし、そうすれば榛名とぶつかることもなかったのに。
「…とりあえず家行くか」
「え、いいのか?」
「お前んち駅の反対側なんだろ。遠い」
普段ならとっくに家に着いている時間だ。
家族に心配されるし、何より俺の体が空腹で死んでしまう。
「榛名んちは平気か?」
「おー。親もねーちゃんも遅い」
一応メールしとく、と言う榛名にポケットに入っていた携帯を渡し、自転車を起こす。
メールを終えた榛名と並んで自転車を押し、歩き出す。
…自分ちに帰るのに、こんなに足が重いのは初めてだっての。




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