俺とお前と青い空と、 | ナノ






>>01

落ち着け。
落ち着け高瀬準太。
…どうして俺はここにいるのに、目の前にもいるんだ。

「え…と。高瀬、だよな…?」
「…お前は…榛名、だよな?」
「あぁ…」
俺の姿をした榛名も混乱しているようだ。
「…なぁ高瀬、聞いていいか?」
「何だよ…俺に答えられることか?」
「……何でお前、俺なんだよ」
……は?
「ちょっと待て、なんだそれ」
「見てみろよ」
鏡を渡される。何で持ってるんだお前は女か、なんてツッコミを入れる余裕などない。
だって、そこに映されたのは。
毎朝鏡で見ている顔とは、似ても似つかない。…いや、髪型はちょっと似てなくもない。…ってそれはいい。
自分のそれとは違うそれは、見覚えがある。
今年の夏。忘れられない、無名校に初戦負けを喫した夏大。
その大会で、同じ二年生投手として注目されていたやつで。
…さっきまで、目の前にいた、
「……榛名?」
榛名元希の顔が、俺を見つめていた。

………いやいやいや。
きっとぶつかって頭打って意識なくしたんだな。うん。
利央に怒られるだろうし、こんな夢見るし最悪だな…
「いってー!」
頬をつねってみて、その痛さに飛び上がる。
え、なにこれなにこれ。…夢じゃない?
だって痛かったし、…今の声だって、さっきまで聞いてた声とよく似てるし。
「何やってんだよ高瀬…」
呆れたようなそれは、…俺の声とそっくりだし。

「え…?」
返した鏡を覗き込んだ、俺の姿をした榛名と、間抜けな声がかぶった。




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