小説2 | ナノ


(リンネ様へ/キセ黄)

「黒子っち黒子っち、あのね…」
どうせ、いつもみたいな馬鹿発言だと思っていたら…
「俺、野球しようと思うんスよ!」
…とんでもないことをいいだした。

そのとき、部室にいたのは僕と黄瀬君の他に、将棋をしている赤司君と緑間君、お菓子を食べる紫原君とそれを奪おうとする灰崎君、グラビアを舐め回すように見つめる青峰君。
少人数のそこに黄瀬君の通る声はよく響き、彼らは一斉にこちらを向いた。
「…何でですか?」
とりあえず聞いてみる。…予想はできているのだが。
「この前、スポーツ番組のゲストに呼ばれたんスよ」
「そうなんですか」
…もちろん知っている。まだ放送前のはずの映像を何故か赤司君が持ってきて、みんなで見た。
「そのとき野球スペシャルで、色んな球団から人が来てて…」
どうしてバスケスペシャルのときに呼ばなかったんですか。
「ストラックアウトとかしたんスけど、素質あるねって言われたんスよ!」
そりゃ君は何でも素質あるでしょう。その素質はバスケに活かすべきです。
「考えてみたら野球ってちゃんとやったことなかったし、今度挑戦してみようかなーって。テレビで企画もやってもらえるみたいっスから」
「……ちなみにその間、部活は?」
「しばらく減らすかもっスね。だからやるかどうか決めあぐねてるんスけど」
ぴくり。
その一言は、部室中の耳が動くのには十分だったようだ。
…これは、由々しき事態だ。

「黄瀬ェ!お前、まだ俺に勝ってねぇくせに逃げるつもりか!」
「そんなんじゃ俺からスタメンは奪えねぇな、リョータァ」
まずは青峰君と灰崎君がいきました。ベタですが、人相の悪さ故の迫力があります。
「別にバスケはやめねぇっスよ!なんでそんなこと言うんスか!?」
あー、ふたりに責められ黄瀬君半泣きです。ガングロとヤンキー後で校舎裏決定ですね。
ふたりも怯んでしまいました。失敗です。
「お、おは朝の占いで野球はダメだと言っていたのだよ!」
緑間君。それは嘘ですよね。
「嘘っスよ緑間っち!俺だって最近おは朝の占い見てるんスもん。今朝は新しいことを始めると吉って言ってたし!」
「ぐっ…!」
悔しがりつつ、自分の影響でおは朝占いを見始めたことを喜ぶ緑間君ももう使えそうにない。
続いて紫原君がお菓子で釣る攻撃を仕掛けたが、甘い物を控えているらしいモデルの前に撃沈。
ここはもう、僕を気に入っているらしい黄瀬君には有効なはずの泣き落としにでも入るか。と考えたところで。
「涼太」
聞こえた声にちらり。そちらを見れば、いつもの温厚な赤司君からは想像できないようなオーラに思わず縮こまる。何あれ怖い。顔は笑顔なのに。
そして、彼は告げる。微笑みを一切崩さずに。

「…仕事、断るっス」
わずかに震えながら、黄瀬君が弱々しく呟く。
新主将の圧倒的支配力により、帝光中バスケ部部室での野球対バスケの小競り合いは幕を閉じることとなった。


バスケしようよ!
(その説得は、もはや命令)

20130812

リンネ様、ほんとーにお待たせしました!土下座!土下寝!!
赤司様のセリフはまぁなんか、考えるな感じろです。
うちの赤司様は一部を除き、大抵中学から厨二にジョブチェンジ済みなチート。チートなので使い勝手抜群!
こんなものでよければお持ち帰りくださいませ。リテイクも受け付けますよもちろん!



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