一周年記念企画 | ナノ
 

TAKE07
 

…意識が浮上する。
窓から入ってくる月明かりで照らされる、見慣れた俺の部屋。
7月7日になったばかりだと示す、携帯の時計。
天井に貼られた、俺達六人の写真。
さっきまでの光景が何もかも夢だったと、錯覚するには充分。だけれど。

「…夢、じゃ…ないっス、よね…」
だって、覚えている。
目の前で緑間っちの髪が、真っ赤に染まる瞬間も。
駆け寄ったときの、むせかえるような血の臭いも。
抱き締めた身体から、だんだんと消えていく体温も。
夢かもしれないけれど、ただの夢では決してない。
…きっと、なにもしなければ。

あの時間、あの場所で。
緑間っちはまた、死んでしまう。

「させないっス、絶対」
絶対、緑間っちは渡さない。
どんな手を使っても、絶対に。
俺が彼を守ってみせる。

誰と戦っているのか、わからない。
もしかしたら、一番抗っちゃいけないもの。
『人事を尽くして天命を待つ』
緑間っち言うところの天命、

───かみさま、ってやつなのかもしれないけれど。

それが、どうした?
神様だろうが、世界だろうが。
誰が相手であろうと、緑間っちは守ってみせる。

どんな、代償を支払っても。
緑間っちに、次の7月8日を見せてあげたいと。
心の底から、そう思ってる。

どんな、代償を支払っても。


変えてみせるから
(もう二度と、)



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