小説 | ナノ


(瑠明様へ/キセキ+黒+桃)


「敦」
「……はい、赤ちん」
「菓子を食うな」
「……ごめんなさい」
「大輝」
「あ?何だよ赤司。俺は今マイちゃんを…」
「写真集を見るな、と先程も注意したはずだが?」
「だって勉強飽きたし」
「そうか、じゃあテストが終わったら大輝は大好きな基礎練を30倍くらいにしてあげよう」
「申し訳ありません赤司様それだけは勘弁してください」

帝光中学校、図書室。
テーブルのひとつを占領して、バスケ部レギュラーが座っていた。
放課後、運動部であるはずの彼らがここにいる理由は、周りのテーブルに陣取る他の生徒達と同じだ。
すなわち、二日後に迫った期末テストの対策である。

キセキの世代、などと呼ばれていてもやはり中学生、もちろんテストはやらされるし、赤点なら補習や追試が行われる。
とはいえ、彼らの成績は概ね良好だ。
赤司などは入試からここまですべての試験でトップに君臨し、そこまでではないものの緑間も五位以内には必ずいるし、マネージャーである桃井も一桁には入る。
そこからは少し落ちるものの、黒子は平均あたりを毎回取っていて、モデルと両立しているにしては黄瀬もそのあたりで健闘している。
…問題は、残りのメンバー。
先にも名前を呼ばれた、紫原と青峰だ。
二人は赤点常習犯で、運良く逃れたとしてもギリギリ紙一重、貼り出される順位は安定の下位十名。
二人とも試合での集中力でやればできないはずはないのに、と教師達も胃を痛めていて、今回ついに。
『頼むよ赤司。あの二人が平均点を取ったら、学食に湯豆腐を置くから』
キャプテンに、白刃の矢が立った。

「…そんな理由で引き受けたんスか?赤司っち…」
「何か言ったか?涼太」
「……何でもないっス」
先生役、として上位組の赤司、緑間、桃井が勉強を教え、青峰と紫原が問題を解き。
その隣で、普通組の二人が自分達の勉強をするという具合だ。
「だからそこはareだから!もうムッ君、英語やる気あるの!?」
「あいうぉんとおかしー」
「ムッ君!」
桃井は紫原の英語力にため息をついた。
中一レベルがまともにできていないので、三年二学期中間のテスト範囲ができるはずもないのだ。
「だから違う!どうしてその公式を当てはめるのだよ!」
その隣では図書室であることも気にせず、緑間が今日のラッキーアイテムであるハリセンで青峰を叩いている。
「赤司、助けるのだよ!青峰は俺の手には負えん!」
「頑張れ真太郎。あと図書室では静かにな」
…正確には先生役をつとめているのは緑間と桃井だけで、赤司は勉強もせずに窓辺で小難しい本を開いている。
これでトップとはムカつくやつだ、と緑間は青峰の導き出した答えの難解さに胃を痛めながら思った。

「ふぁー…」
そんな中で、黄瀬が呑気にあくびをする。
「眠いのか、涼太?」
「…んー…昨日の撮影結構長引いて、あんま寝てなくて…」
赤司の問いかけにもどこか力ない返事が返る。
まぶたは今にも落ちそうだ。
「そうだな。頑張ったし、少し休憩にしようか」
お前はなんもしてないだろ、という青峰のツッコミは黙殺された。
「じゃあお菓子でも買って、屋上行くっスか?」
「涼太はとりあえず寝ろ」
「わー、お菓子ー」

ぞろぞろと出ていくバスケ部に、周囲の生徒は安堵する。
……と。
「大輝、敦」
一番後ろについて出ていこうとしていた下位組二人が、前に進めなくなる。
「お前達に休みを与えた覚えはないのだが?」
振り向いた二人は、長身を震え上がらせる。
世界一恐ろしい笑顔で、学年トップが微笑んでいた。

…それから先、屋上でお菓子を食べて昼寝をしたバスケ部の面々は、図書室で何が起きていたのかを知らない。
ただ、その次のテストの結果の、下位十名に青峰大輝と紫原敦の名前はなかった。
それから、学食で湯豆腐を食べる赤司征十郎がたびたび目撃された。


Let's study!
(たまには休憩も!)

20120725

瑠明様、大変お待たせいたしました!
…ほのぼの…?
ほのぼのというかこれはなんだ?
きっとモノローグの文体のせいです。
内容はよく見るときっとおそらくちょっとはほのぼのしてるはず!
リテイク受け付けますのでお気軽にお申し付けください!



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