小説 | ナノ


(梨恋さまより/青黄)


学校帰りになんとなーく立ち寄ったゲーセンで珍 しい人に会った。 色黒長身の青峰っちはゲーセンの入口付近にある UFOキャッチャーを物凄い形相で睨んでいて、そ の異様な光景に周りの人達は青峰っちが立ってい る台の近くを避けて歩く。 オレに気づいていないようだったから脅かしてや ろう!なんてこっそりと近づいて、青峰っちの耳に 息を吹きかける。

「あーおみねっち」

「うおぉ!」

びっくりして飛び退く青峰っちに黒子っちのミス ディレクションをコピー出来る日もそう遠くない のかな?なんて思ってみたりして。

「黄瀬!?」

「はいはい、黄瀬君ですよぉー」

息を吹きかけた右耳を真っ赤な顔をして押さえる 青峰っちを茶化したら怒られそうなので、気づか ないフリをしてさっきまで青峰っちが見ていた UFOキャッチャーの中身を確認する。 そこにはゆるキャラグランプリで上位に食い込ん だひよこのぬいぐるみが鎮座していた。 青峰っちとゆるキャラのぬいぐるみだなんて意外 でついつい笑ってしまう。

「青峰っち、ぬいぐるみ欲しいんスか?青峰っち が!?」

「うっせ!」

青峰っちのあの汚い部屋にこのひよこのぬいぐる みとかウケるんスけど! レブロン・ジェームズのポスターの下にそのぬい ぐるみとかあったら確実にオレの腹筋が崩壊す るっスよ! ゲラゲラと笑っていると不機嫌な顔をした青峰っ ちに小突かれてしまう。

「ただなんとなく、黄瀬に似てんなって思っただ けだよ!」

もしかしたら、喜ぶところだったのかもしれない けれど、青峰っちの言い分に思わず笑いが止まる。

「似てないっスよ!モデルとゆるキャラ一緒にする なっス!!」

てか、こいつって確か、おっさんの設定じゃなかっ たっスか!? 若くてイケメンなオレとお腹に腹巻きなんて巻い てるおっさんひよこと一緒にするなっス! 青峰っちの目はどんな風に見えているんだろうと 非難の視線を送ると、マジマジとオレとぬいぐる みを見比べる。

「似てんだろ?黄色いところなんてそっくりじゃ ん」

オレ=黄色っスか!?黄色だったらなんでもオレな んスか!? それなら青峰っちはサ○エッ○スのゆるーいクマの シリーズ出てくる黄色い鳥とか、ディ○ニーに出て くる黄色いクマとかも全部オレなんスか!? そういえば、中学時代の青峰っちの筆箱はその黄 色いクマで似合わないなんて茶化していたことを 思い出す。 何だかそういうキャラクターものが似合わない青 峰っちがオレを思い出すからなんて身に付けてる んだと思うと、嬉しくなって鞄から財布を取り出 す。

「しょうがないからオレが取ってあげるっスよ」

「はぁ!?いんねぇーよ!そんなの部屋にあったらさ つきに笑われるだろ!?」

桃っちは青峰っちの部屋にちょくちょく入ってる んだと思うと、悔しくなって意地でもこのぬいぐ るみを取ってやろうなんて思いながら500円玉を コイン投入口に投入する。

「取れたらちゃんと部屋に飾るんスよ?」

「あ?」

「ついでに涼太なんて名付けてもいいっスよ?」

「誰が名付けるか、ばぁーか。」

頭を小突かれた瞬間、アームによって少し持ち上 がったぬいぐるみがその場に落ちる。

「もぉー青峰っちが邪魔するからー」

「オマエが人の話を聞かないからだろ!」

ぶーぶーと文句を言うとまた小突かれた頭を押さ えながらUFOキャッチャーに向き合う。

「もう少し右じゃね?あ、行きすぎだろ!」

「あーもー青峰っちは黙ってろっス!集中できな い……あ」

「あ…」

アームに引っかかったぬいぐるみは無事に運ば れ、商品取り出し口から黄色い顔を覗かせている。

「取れちゃったっスね…はい!」

取り出し口から取り出したぬいぐるみを青峰っち に押しつけると案の定、似合ってなくて笑ってし まい、笑うな!なんて怒られてしまう。 数日後、青峰っちの部屋に行くとレブロン・ジェー ムズのポスターの下にあのぬいぐるみが鎮座して いて嬉しくなった。

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45600打の栗山詩鹿さまリクのほのぼの…若干、プ ラス寄りになってしまいました(;´・`) 青峰は黄色いキャラを見るたび、黄瀬っぽい…と か思ってたらいいと思いますwww ちなみにおっさんヒヨコはバリィさんなんです が、他県にどんだけ浸透してるんだろう← 栗山詩鹿さまのみお持ち帰りOKです! 返品も苦情もお待ちしてます←




梨恋さま宅『ベタな恋愛事情』にてキリ番を踏ませて頂き、ほのぼのした青黄という私には書けなそうなものをリクエストしてみたらこんな可愛らしい青黄を頂いてしまったよ!
ちなみにバリィさんググってみたら可愛かった。でもモデルには程遠かった。でも黄瀬っぽくて可愛かったです。
レブロンのポスターの下のバリィさんに涼太と呼びかける青峰っちとか腹巻き巻いた黄瀬を想像するだけで私のたるんだ腹筋は崩壊です。
梨恋さま、ありがとうございました!



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