小説 | ナノ


(灰→←黄)

第170Q『ただのヒマつぶしだ』のネタバレを含みます。
また、灰色の人のキャラの大半を捏造しています。
事後です。
よろしければスクロールを!



















リョータに一度だけ、尋ねたことがある。
「ショウゴ君」
どうして俺のことだけそう呼ぶのかと。
最近はテツヤのことも黒子っちなどと呼び始めたし、どうでもいいが紫原っちって言いにくくないのか。
「えー、だって俺、尊敬してないとっち付けないし。あと灰崎って言いにくいっス」
その答えが返ってきて、反射的に一発頭にぶち込んだのは、俺が悪いんじゃないはずだ。

リョータと俺は恋人ではない。
友達でもないし、もはやチームメイトですらない。
…あえて分類するならば、セックスフレンド、だろうか。
顔を合わせれば罵り合って、そのまま家に連れ込んで身体を重ねて。
学校では目を合わせるのすら嫌がるのに、俺の下では早く早くとせがむ。
わざわざ俺としなくても、男でも女でもよりどりみどりだろうに。
…リョータは、読めない。

「…ねぇ、ショウゴ君」
俺の部屋で、いつものように交わった後。
ベッドの上で伸びていると、隣から小さな声がした。
眠っていると思っていたリョータは、乱暴にかけた毛布から顔だけ出して、もう一度俺の名前を紡ぐ。
しょうごくん、という声が少し掠れているのは、先程まで女のように上げ続けていた嬌声の弊害だろう。
「聞いてる。何だよ?」
「…俺のこと、好きっスか?」
しばしの沈黙。
先に視線を逸らして口を開いたのは俺だった。
「お前なんか嫌いだ、バァカ」
それを聞いたリョータは笑う。
「…知ってるっス」
あぁ、上目遣いが鬱陶しい。
「でも、俺はショウゴ君のこと、好きっスよ」
「ハッ。マゾかよ」
「そうかもっスね」
「言ってろ」

まっすぐ見つめてくる瞳がうざい。
潰していいか、さすがにまずいか。
無表情を貼りつけたまま、心の中だけで嘲笑う。
どこまでも純粋なリョータを、そして自身を。

(…愛してる、とか。好き、とか)
甘い言葉でくるまれた、砂糖菓子のような感情。
リョータに対して、大分前から抱いていた想い。
…どうして今更、伝えられようか。

もう全て、遅い。
進むことも戻ることも、不可能だ。
このぬるま湯のような関係を続けることしか、俺の活路はないのだ。
だってリョータのいる光の中に、俺はもう、とっくにいないんだから。
手を伸ばしたところで、届くはずがないのだ。

かつての俺の場所にいるリョータは、今の俺には眩しすぎる。

声を聞くのも、顔を見るのも嫌になって。
乱暴に舌を絡め、目を閉じた。


眩しくて見つめられない
(終わらない無限ループ)

20120626

最近原作にウハウハしっぱなしですが、特に灰崎さんパネェっす。
『リョータ』『ショウゴ君』呼びとか。
これからの試合展開が楽しみな今日この頃、もちろん妄想も全開です←
いちゃいちゃあまあまらぶらぶは絶対似合わない、付き合ってても薄暗い灰黄萌え。
たぎってしまって衝動のままに書き殴ったらできたのがこれ。
早けりゃいいってもんじゃない。



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