小説 | ナノ


(青←黄)


「青峰くーんっ」
語尾にハートマークがつきそうな勢いで、青峰っちを呼ぶ女の子。
学年で桃っちと1、2を争う人気がある子だ。
可愛さ故の自信で目下、青峰っちにアタック中。

青峰っちはモテる。
背も高いし、顔も整っている。
バスケは言うまでもなくすごい上手いし、いっつも寝てるくせに勉強もそこそこできたりして。
(桃っちのノート借りてるなんて、みんな知らないっスもんね…)
「おー、どうした佐藤」
満更でもなさそうな顔で、青峰っちは彼女に応える。
…胸を注視しているのがここからでもわかった。

…わかってる。
青峰っちは俺のじゃない。
あの子と付き合っても、他の誰を好きになっても。
俺に何か言う資格はない。
俺は男で、ただのチームメイトで。
どれだけ背伸びところで、青峰っちの瞳に俺は映らない。
この気持ちを叫んでも、壊れたメガホンしか持たない俺は、青峰っちを振り向かせられない。

だけど俺には、もう青峰っちしかいない。
青峰っちしか、見えないんだ。
それなりに女の子にもモテるけれど、他の子なんて、視界に入らない。

今にも降り出しそうな灰色の空を見る。
…この世界も、この空みたいにモノクロで。
青峰っちだけが、ちゃんと色付いて見える。
だから。

「青峰っち」
瞳に映らない、なんて言わせない。
こちらを向いてないなら、振り向かせてやる。
手段は、選ばない。

だって、恋は戦争だから。



恋は戦争
(口づけて、目を覚まして)

20120612

この後、黄瀬の半ヤンデレな猛アタックが始まりますw



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