小説 | ナノ


(natsu様へ/キセ黄)


「きーちゃんの長所?」
キセキの世代、などと呼ばれたりもする帝光バスケ部の部員が、俺を含めて六人。
そこにマネージャーの桃井も加わって、次の試合のミーティングをしている最中。
黄瀬が唐突に言った。
『俺の長所ってどこだと思うっスか?』と。
「そうっス!雑誌の企画で、次の撮影までに友達に聞いてきてって頼まれたんスよ」
で?と黄瀬は瞳をキラキラさせて、俺達を見回す。
「…無ぇな」
「てか黄瀬ちんって俺達の友達だっけ?図々しいよ」
「…雑誌の編集者が困って、涼太に丸投げしたんじゃないか?」
「黄瀬君はもうモデルやめるべきだと思います」
青峰、紫原、赤司、黒子、と順に返す。
「みんなひどいっス!…ねぇ、緑間っちは?」
こっちを向いた黄瀬の後ろに、しっぽが見えるのは気のせいだろうか。
「…お前が双子座で良かったと思うのだよ」
「え?それってどういう…」
「俺の蟹座との相性が最悪なのだから」
「長所かと一瞬期待した俺がアホだったっス…」
その後桃井にも尋ねたが、桃井も曖昧に笑うだけ。
「…それより涼太、撮影今日じゃなかったか?」
「あっ!…もういいっスよ、マネージャーに考えてもらうっス!」
みんなのバーカっ!なんて小学生のような捨て台詞を吐いて、黄瀬は体育館を出て行った。
「みんな本当にきーちゃんにはひどいなぁ」
桃井がそう言えば、
「さつきだって人のこと言えねぇよ」
と青峰が返す。
俺達は顔を見合わせて笑った。
それだけで、伝わる。

そう、例えば。
軽そうに見えて好きな子には一途だったり。
バスケを一生懸命頑張ってたり。
そこそこの成績を維持するため、陰で努力してたり。
辛いことがあると、ひとりでこっそり泣いてたり。
他にももっと直接的な、例えば笑顔だったり髪だったり声だったり。
長所、と呼べるかは微妙だけれど、好きなところなら数え切れないくらいたくさんある。
けれど。
「…雑誌の企画、なんてな」

そう、黄瀬の良いところなんて。
全国の不特定多数のファンに教えるには、もったいない。



(俺達だけの秘密でいい)

20120605

natsu様へ。
みんなのツンデレが過ぎて愛されてるように感じませんが…。
わかりにくいですが緑間っち視点です。
ちなみに蟹座×双子座の相性は知りませんが、相性悪くて緑間っちヘコんでたら可愛い。
誠凛の先輩方とキセキとで迷ったんですが、ニコニコ大百科の記事に黒子より薄いとか書かれてる先輩方のキャラが上手く掴めなかったのでこちらですw



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