小説 | ナノ


(榛準←利)


準さんは、寒いのが苦手。
暑いのは平気なのに寒くなるとすぐ引きこもる。
甘いものも苦手。
俺と迅が甘いの食べてると、地球外生命体を見るような目で見てくる。
バレンタインデーは地獄だと言っていた。
俺からしたら、そっちのが謎だ。
嬉しいのに。

準さんは、和さんが好き。
あの二人からは、ただのバッテリーとは違うものを感じる。
その証拠に、俺とバッテリーを組みはじめても、準さんは和さんの方が好きなんだ。
俺のことはやっぱりからかってばっかりで、だけどたまにふと優しくて。
マイペースなようでちゃんと周りを見てて、繊細なようで芯が強くて。

そして、知ってる。
「じゅーんたっ」
「榛名っ!お前、学校まで来んなって言ってんだろバカ!」
「んなっ!バカって言うなよー!」
武蔵野第一高校のエース、榛名元希。
そいつが校門前に立っていると、俺の隣を歩く準さんは、ため息をついてそいつを足蹴にする。
そして痛がる榛名と準さんは、二人並んで歩き出す。
その姿は、普通の友達のよう。
だけど、俺は知ってるよ。

これから人気のない公園で、榛名とキスを交わすでしょう?

本当は榛名のこと、誰より何より大切なんでしょう。

きっかけは何だったのかわからない。
いつから気付いていたのか、とっくに忘れた。
だけど、なんで知ったのかはちゃんと、ちゃんとわかってるんだ。


知ってるよ、好きだから
(この想いが届かないことも)


20111204

title by 確かに恋だった



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