小説 | ナノ


(緑黄)

緑間っちの指はきれいだ。
丁寧に手入れされていて、俺より少し長くて。
……俺の大好きな指だ。

「…何なのだよ、人の指で遊ぶな」
緑間っちは不機嫌そうに、メガネの奥から俺を睨む。
そんなことには頓着せずに、俺は緑間っちの指を弄ぶ。
「おい」
「あー、すべすべっス…」
「黄瀬」
「爪つるつるー…」
「……涼太」
「……っっ名前で呼ぶのは反則っスよ!!」
赤くなっているであろう頬を押さえながら飛び上がる。
そんな俺を見て、緑間っちは満足そうに目を細めた。

「やっとこっち向いたな」

「…もしかして緑間っち、自分の指にヤキモチっスか?」
そう言えば、緑間っちはわかりやすく赤面する。
「そそそ、そんなわけないのだよ!」
…バレバレだ。

「心配しなくても、緑間っちの指だから、っスよ?」
「わかってるのだよ」

きれいな指先に、口づけをひとつ。


指先忠誠を
(指の先まで俺のっスよ)

20111104

title by たとえば僕が



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